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DX(デジタル・トランスフォーメーション)の促進や2025年の壁の克服については過去のコラムでもご紹介しましたが、政府はこれらを制度として後押しすべく、昨年10月に情報処理の促進に関する法律「通称:情報処理促進法」の改正案を閣議決定しました。
施行は2020年春を目指しています。

皆様の企業にも今後大きく関係する改正ですので、今回あらためて、情報処理促進法の改正内容と、政府が後押しの柱として考えているデジタルガバナンスコードついて整理したいと思います。

 

情報処理促進法の改正内容

今回の改正のポイントは以下のとおりです。

    1. 企業経営における戦略的なシステムの利用の在り方の指針【デジタルガバナンスコード】を国が策定する。
    2. 指針を基準に優良な取組を行う事業者を認定する制度【DX格付(仮)】を創設する。
    3. 社会全体のデータ連携・共有等の共通の技術仕様策定を独立行政法人情報処理推進機構が実施する。
    4. 情報処理安全確保支援士の資格に3年ごとの更新を導入する。

1と2が大きな改正点です。
政府の考える「後押し」とは、政府が【デジタルガバナンスコード】を策定し、そのデジタルガバナンスコードに基づく取り組みを制度として評価し格付け【DX格付(仮)】することです。

制度としての格付けは投資市場や企業評価に少なからず影響を及ぼします。
デジタルガバナンスコードに基づく取り組みの企業メリットをDX格付により強化し、DXや2025年の壁の克服を促進することが狙いです。

 

デジタルガバナンスコードの概要

デジタルガバナンスコードはまだ検討段階ですが、各企業が目指すべきデジタルガバナンスのあるべき姿として、5つの行動原則をベースに検討されています。

行動原則1 成長に向けたビジョンの構築と共有

「DXを通じた企業価値の継続的な向上・創出」
「経営環境の変化への迅速に対応による成長」
を経営ビジョンに明確に盛り込み、社内外に共有することを求めています。
DXへの取り組みを経営者の責任として求めていることがポイントです。

行動原則2 ビジョンの実現に向けたデジタル戦略の策定

ビジョンを構築したら、次は実行のための戦略です。
「データとデジタル技術を活用した価値創出の戦略」を経営戦略と一体のものとして策定することを求めています。
「データ活用」と「デジタル技術活用」はDXの重要要素です。特に、デジタル技術活用では「新たなデジタル技術の獲得」を求めています。
また、これらの戦略だけでなく、2025年の壁の克服として「技術的負債低減のための戦略」の策定も求めています。
短期的な観点(長期的には本来不要な機能の追加等)のシステム構築で増大してしまった保守費や運用費(技術的負債)を削減することができなければ、DXに必要なIT資金を確保することが難しくなります。

行動原則3 体制構築と関係者との協業

戦略を策定したら次は体制構築です。
DX推進のための必要な人材の育成・確保への取り組みや、外部組織の活用を求めています。
そして、ここでは「企業文化の変革」も求めています。
DXや新しいデジタル技術の獲得は未成熟な領域が多く、失敗する可能性が高いことを正しく理解する必要があります。
失敗を恐れるのではなく、失敗から学びまた挑戦する、失敗・学習・挑戦のサイクルを “早く”“多く”繰り返す、この考え方への変革です。
上記と対極的な文化を持つ企業が日本に多いことも、日本でDXが進まない原因の1つです。企業文化の変革は大きなハードルですが、取り組むべき重要な対策です。

行動原則4 デジタル経営資源の適正な配分

体制構築と並行して経営資源の配分も進めます。
ポイントは「守りのIT予算から攻めのIT予算へのシフト」です。
攻めの投資・守りの投資についてはこちらをご覧ください。

行動原則5 デジタル戦略の実行と評価

最後は実行・評価・改善です。
「リスクコントロール」と「評価・改善」を求めていますが、リスクコントロールは注意が必要です。
既に触れたとおり、DXや新しいデジタル技術には未成熟な領域が多いため、セキュリティ等のリスクコントロールの難易度は当然高くなります。
攻めと守りのバランスでリスクを評価する必要もあるため、外部の専門家を活用するなどしてリスクコントロール対策をする必要があります。

デジタルガバナンスコードの詳細な内容や、格付け方法・基準等も今後明確になっていくはずです。
デジタルガバナンスコードもDX推進のフレームワークの1つです。
情報処理促進法が改正された際は、皆様も内容をご確認いただき、活用を検討されてはいかがでしょうか。

 

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2020年03月05日 (木)

青山システムコンサルティング株式会社

吉田勝晃