サーバ仮想化の現実的な問題点

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 この1、2年で、IT業界で注目されてきている技術に「仮想化」があります。
特に「サーバの仮想化」に関しては既に導入している企業も多いようです。し
かし大部分は、今後行っていきたいが今はまだ様子を見ているといった段階な
のではないでしょうか。
仮想化サーバの販売や、仮想化によるサーバ統合サービスを提供するベンダ
ーのサービス内容を見ると、1台の物理サーバ上に既存の物理サーバのOSやア
プリケーションを丸ごと移行でき、しかも複数を同時実行できるとあります。
これにより保有する物理サーバ数を減らすことができ、サーバの購入費用、運
用費用、保守費用が削減できるので、非常に魅力的に見えます。しかし、実際
に仮想化サーバを導入しサーバの仮想化を行ってみると、なかなか簡単にはい
きません。以下のような様々な問題が生じます。

 全ての既存システムが仮想化できれば良いのですが、実は仮想化できないも
のも結構あります。仮想化ソフトにもよりますが、基本的には比較的新しく、
かつ、メジャーなOSでなければ移行が困難です。移行後に正常動作しなかった
ため、個別に設定作業を行い、試行錯誤の末、何とか動作させたというケース
もあります。また、DBサーバのような他のサーバとの通信やディスクIOが頻繁
にあるシステムも仮想化の移行に失敗する傾向があります。

仮想化ソフトはいくつかのOSをゲストOSとしてサポートしますが、OS上で動
作していた既存アプリケーションの動作保証をする訳ではありません。移行前
と移行後で動作に違いが生じる可能性は、無いとは言い切れません。よって、
仮想環境へ移行するシステムは、移行したことにより多少の動作の違いが出る
ことを考えても仮想化のメリットが大きく、移行の意義があるシステムが対象
となるでしょう。システムの利用部門によっては、少々のコスト削減のために
機能障害のリスクを抱えることに反対する可能性もあります。このような場合
は、仮想化といっても情報システム部門のみでは進められず、利用部門との協
議が必要となります。ベンダーに移行を依頼する場合もベンダーは厳密な機能
テストはできないので、動作保証をすることはないようです。

また、仮想化のメリットの1つにシステムの延命があります。保守期限が切
れたOSを使用しているシステムを更新する場合、マシンの購入費用、新OSの購
入費用、新OSで既存アプリケーションを稼働させるための改修費用等、様々な
コストが発生するため、仮想環境への移行は非常に魅力的です。しかし、これ
にも注意が必要です。OSの保守期限が切れるほど前に作ったアプリケーション
を本当に延命する価値があるか慎重に検討しなければなりません。メンテナン
スが必要となった時に、開発言語が古く技術者が確保できないケースや、そも
そも中身を把握している技術者がいなくなりメンテナンスができなくなるケー
スも考えられます。アプリケーションがビジネス環境の変化に対応できないと
なると、ビジネス上の損失を出しかねません。技術者が確保できている場合で
も度重なる改修でソースコードが複雑化しメンテナンス性が悪くなっていき、
少々のメンテナンスも多大なコストがかかるケースも考えられます。

このように、サーバの仮想化は実際導入してみると様々な問題が生じ、そし
て導入してみて初めて気付く事があります。
全社的に仮想化技術を導入するような場合は、いきなり大きな計画を立てる
のでは無く、まず、試験的にサーバ数台に対して行い、仮想化の現実的な問題
を洗い出す事が重要です。
仮想化は、しっかりと計画をたて導入すればハードウェアの購入コスト、運用
管理コストの削減ができ、ITコスト削減の有効なツールとなります。皆様の会
社で、仮想化を導入したいがためらっているといった状況にある場合は、まず
は、不安を取り除くためにも、小規模での導入をして実態を把握してみてはい
かがでしょうか。

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2009年05月01日 (金)

青山システムコンサルティング株式会社

池田洋之