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「情報システムの投資は妥当なのだろうか?」これは経営者ならずとも情報システムの管理者が思い悩むところです。
ITシステムの投資効果…・これは好景気、不景気に関係なく永遠の経営課題と言えます。投資効果が金額できっちり査定できるものならそれに越したことはありませんが、一般的には非常に困難です。たとえ数値を出したところで、こじつけか我田引水的理論だったりし最終的には経営者の判断に委ねられるのが現状です。
システム管理者であるあなたは日々経営者に対し、いかにしてシステム投資を認めてもらうかということに頭を悩ませていることと思います。

KGIとKPI
投資効果の指標にKGI (Key Goal Indicators) と KPI (Key Performance Indicators) というものがあります。KGIは売上増大や経常利益率向上など経営上の達成目標を示すもので日本語では「結果指標」といわれています。KPIは納期短縮や業務の効率化などKGIに先立って改善が見られる効果で日本語では「先行指標」といわれています。
このKPIがITシステムを導入した際に期待される“IT投資効果”にあたります。
ITシステムはあくまでもツールなので、システムを導入したからといって売上増や利益率の向上が直接期待できるものではありません。
一般的にはこのKPIをBSC (バランスド・スコアカード) の視点で抽出します。ここではBSCの解説はしませんが、ITシステム導入における具体的なKPIの例は以下のとおりです。
1.財務の視点
・棚卸資産回転率
・原価率など
2.市場・顧客の視点
・リピート購買率
・クレーム発生件数など
3.ビジネスプロセスの視点
・製品化までの時間
・生産のリードタイム
・インターネット取引比率など
4.学習と成長の視点
・情報検索に費やす時間
・残業時間など

上記のそれぞれの指標について“10%UP”とか“2時間短縮”とか具体的な数値目標を立てます。それと、大切なことはシステム導入後に定期的に各指標のモニタリングを行うことです。
しかし上場している大企業などでも、システム導入を上程する稟議書で「工数の20%削減」とか「経費の削減見込み年間500万円」などと謳いながら、実際はその効果検証をしている会社を見る事は稀です。
すなわちITシステムの投資効果を謳いながらPDCAのサイクルを現実的には誰も回していないのです。
ITシステムの投資効果は
1.妥当なKPIの各種指標の目標を明確に設定し
2.ITシステム導入後3ヶ月、6ヶ月、1年などのサイクルで当初見込んだKPIの各指標が目標を達成しているかどうかを定期的に把握し
3.達成されていなければその原因を分析し
4.改善を半永久的に続ける
必要があります。

ITシステムの投資効果とは「とらぬ狸の何とやら」を見込むのはなく、「投資効果を出す」という強い意志・決意を持って効果を検証し続ける努力が必要なのです。
皆さんももう一度ITシステムの投資効果を検証されてみてはいかがでしょうか?

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2009年01月15日 (木)

青山システムコンサルティング株式会社

谷垣 康弘(元会長)