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 グローバル化・技術革新・労働人口の減少と高齢化、今日の日本は経営環境が目まぐるしく変化しています。そして、経営戦略の変化に伴う「業務改革」の必要性は増す一方です。皆様の中にも業務改革の必要性を痛感している方が多いのではないでしょうか。しかし、同時にこんな声も数多く聞かれます。

「基幹システムを入れ替えたのに業務効率が上がらない」
「ITに多額の投資をしたのに投資に見合う効果がでない」

 なぜ、業務効率は向上しなかったのでしょうか?業務改革のための「IT活用」とは何でしょうか?

 そんな疑問を解決すべく、今回は「業務改革」を進めるための基本フレームワーク(構造・枠組み)と、業務改革に必要不可欠である「ITの活用術」についてご紹介します。

 業務改革を考える場合、目先の改善だけでは不十分で、もっと大きな視点で改革を考える必要があります。A・T・カーニーは業務改革を進める上で、三つの改革が必要であると提唱しています。

【業務改革のフレームワーク】
 ① ビジネスモデル変革「Model」
 ② オペレーション改革「Operation」
 ③ キャパシティ最適化「Capacity」

■ビジネスモデル変革
 ビジネスモデルとは大きくは企業が提供する「価値のモデル」と捉えることができます。どのような価値を提供するべきか、これは専門の経営コンサルタントにお任せします。ここでのポイントは「オペレーション改革」は「ビジネスモデル改革」の規定に基づき定義される点です。

 A・T・カーニーの統計ではオペレーション改革からさらにビジネスモデル改革に踏み込むことで、その効果は約2倍に増加するとの結果が出ています。ビジネスモデル改革に踏み込まずとも、まずは自社のビジネスモデルを構造化して再認識することが重要です。ビジネスモデルが構造化できればオペレーション業務の内容はおのずと決まります。

■オペレーション改革
 オペレーション改革は「費用対効果」「業務プロセスの効率化」「組織の効率化」の三つの視点から見直すことがポイントです。

~費用対効果~
 費用対効果の視点では主には「人員資源」に対する効果の分析が求められます。投資効果が把握できれば、投資の増加(増員)により効果の増幅を期待できるのか、それとも業務の見直しが必要なのかを判断できます。
 また、アウトプットの有効性(受益者にどの程度の効果があるのか)と利用状況の分析も求められます。環境変化に伴い、当時は効果(意義)のあったアウトプットも現在では効果を失っている。そんなアウトプットはありませんか?

~業務プロセスの効率化~
 業務プロセス効率化の視点では、まずはプロセスをクリーンな形に構造化します。業務をプロセスに分解し、無駄なプロセスを排除します。ここで重要なポイントは「全体最適」と「ボトルネックの解消」です。

 業務は一連の流れです。常に全体最適の視点で無駄なプロセスか、見直しが必要なプロセスかを判断します。また、プロセスの中にボトルネックとなっているプロセスが存在していれば、他のプロセスの生産性を向上させても全体的には生産性は向上しません。プロセス全体を俯瞰してみてボトルネックプロセスを解消することが不可欠です。

 プロセスをクリーンに構造化できれば、次はプロセス自体の生産性を向上させます。この段階では「IT化」「自動化」の検討は避けては通れません。

~組織効率化~
 不必要な重層構造化された組織の廃止、全体最適のためのコックピットとなる部門の設置等、組織変革に踏み込むことができればより効果的な効率化を期待できます。組織改革に踏み込まずとも、まずは部門間で重複している業務を見直すことが重要です。重複する業務は非効率そのものです。

■キャパシティ最適化
 業務改革の視点でのキャパシティ最適化とは人員規模・人員構成の最適化を意味します。まず行うべきは業務に対する適正な人員規模を把握することです。売上等の外部要因に応じて業務量が増減する業務と、業務量が変動しない業務があります。それぞれの業務が外部要因とどの程度リンクして変動するのかを見極めることが重要です。

さて、冒頭の疑問への答えはお気付きいただけたでしょうか?ITによる業務改革は全体改革の中のごく一部に過ぎず、改革の範囲には限界があります。ITは道具です。ITを正しく活用するためには、どのプロセスをどのように改革するためにITを導入するのか、目的を明確にすることが重要です。

ITの活用術とは「ITの目的と役割を明確にすること」です。そして、業務改革の推進に最も重要なことは先述の業務改革フレームワークでもIT活用術でもなく、改革を望む強い意志です。強い意志のもと、改革を検討される際には是非、IT活用のお手伝いをさせてください。

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2014年02月06日 (木)

青山システムコンサルティング株式会社

吉田勝晃