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先日、従業員数が5名〜15名ほどの小規模な企業3社の経営診断を行う機会がありました。
どの企業も営業利益が赤字もしくは赤字に近い状況で、利益が確保できる体制の構築が喫緊の課題でした。
もう一つ各社で共通していたことは、ほとんどITへの投資やITの活用がなされていないことでした。
話を伺ってみると、経営者の方々はITの必要性は理解しているものの、具体的にどうしたらよいかわからないという状況でした。

本コラムでは、従業員や売上が少ない小規模の企業がどのようにIT投資と向き合うべきか、お伝えします。

小規模企業のIT投資への考え方

中小企業でも小規模企業でも、IT投資の基本的な考え方は変わりません。
弊社が出版している書籍やDX特集で述べているとおり、経営者が自社がどうありたいかを考える「Will Beモデル」の策定がなにより大事です。
詳細な説明はDX特集をご覧いただければと思いますが、自社のありたい姿を策定し、その姿になるためにシステムでどんなことができるか、を考えることがIT活用、ひいてはDXの第一歩です。

少し乱暴な言い方をすると、ありたい姿を考えた結果、人的リソースなどを強みとして今の業務プロセスを変更せずに事業を行うほうがよいという結論に至れば、IT投資は不要です。
しかし、現代ではそのようなケースはほぼなく、IT投資は不可欠と言い切っても差し支えありません。

IT投資が不可欠な理由

なぜIT投資が不可欠なのか、理由は大きく2つあります。

1つ目は法律で定められたためです。
2022年1月より電子帳簿保存法が改正され、メールなど電子で受領したデータを紙に出力して保存、ということができなくなり、電子データのまま保存しなければなりません。
保存する際は「真実性の確保」と「可視性の確保」を行わなければならないため、電子帳簿保存法に対応したシステムは事実上全ての企業で必須となりました。(システムを導入せずとも運用で対応することも可能と考えますが非常に手間がかかります。)

なお、本件はすでに施行済みですが、2023年12月末までは猶予期間となっています。この期間に何をすべきかについては、こちらのコラムをご参照ください。
他にも2023年10月にはインボイス制度が施行されますので、電子帳簿保存法と一緒に検討することをおすすめします。

2つ目はビジネス環境の変化です。
実際に話を伺った小売業の会社を例にお話します。
中小規模の小売業は、規模の経済を享受できる大手企業に価格では勝ち目が薄いため、差別化された高価格商品の販売が基本戦略となります。
その会社は基本戦略に則り、こだわりの商品を近隣の競合店より高価格で販売していましたが、近年は赤字に陥っていました。
原材料の高騰や新型コロナウイルスの影響ももちろんありますが、一番の原因は似たような商品がインターネットで安く購入できるようになったからだと私は考えています。
顧客から見るとずっと前から同じような商品がECサイト等で安く購入できる状態になっていたのです。
顧客の購買行動やITへの興味が薄かったため、環境の変化に気が付けなかった結果、赤字に陥り現在までその状況が続いてしまったのではないか…と考えています。

最近のビジネスでは、ITが関わっていないことのほうが稀です。
身の回りを見てみると、色々なものが数十年前からは考えられないほど変わっており、数十年後には、さらにITの活用が進んで今では想像もできないようなビジネスモデルも出てくることでしょう。
そのような変化が起きた際、仮に競合他社にはない強みを持っていたとしても、ITの活用ができなければ変化に対応できず強みを発揮できなくなり、利益の確保が難しくなります。

これからの時代に利益を継続的に確保するためには、ITの活用方法に対して常にアンテナを張り、変化に柔軟に対応しなければなりません。

IT投資費用の確保

では、どのように投資費用を確保すればよいのでしょうか。
利益が確保できている企業であれば、利益から投資費用を捻出することも考えられますが、小規模企業からするとハードルは高いように思います。
電子帳簿保存法等の法改正や新型コロナウイルスの影響により、昔よりもIT投資に活用できる補助金が増加していますので、その活用をお勧めします。
以下に通年で行われている補助金を2つご紹介します。

IT導入補助金
その名のとおり、IT導入を補助する補助金です。
導入の目的によりA-D類に分類され、それぞれ要件が異なりますが、IT導入であれば要件はおおむね満たせます。
申請時には支援機関への相談が必要になっていますので、やりたいことがあるのであれば、まずは相談してみることをお勧めします。

 

ものづくり補助金
ものづくり補助金というと製造業のイメージが強いかもしれませんが、IT投資にも活用できます。
ソフトウェアや情報システムの購入、クラウドサービス利用料、導入にあたって相談する専門家のコンサルティング費用等が補助対象となります。
支援機関への相談は任意ですが、無料相談ができるところもありますので、特に理由がなければ利用することをお勧めします。

最後に

規模の大きい企業と比較して、小規模企業がIT投資を行うメリットは、規模が小さいが故に迅速に導入可能なことや利用者からのフィードバックを集めやすいことです。
環境に適合したシステムの導入とフィードバックの収集を継続的に行うことができれば、環境が変化したとしても柔軟に対応できますので、規模の小さな企業にこそ積極的にITを活用してほしいと思います。

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2022年03月15日 (火)

青山システムコンサルティング株式会社

関根 真悟