公共系IT投資におけるITベンダー選定のあり方

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先日のこと。某新聞社様より、以下の内容のお問い合わせを受けました。
※事実に基づく内容ですが、一部脚色しております。

「最近話題になっている某大規模公共系投資案件は、過去にそれに関連したシステムを開発したA社が受注するのは、やむを得ないのでしょうか。」

 皆さまはこのような質問を受けたら、どのようにお答えになりますか?

 そもそもこのような疑念が発生するのは、公共系システム開発案件における、以下のような背景が存在するからです。

それは、提案依頼書(RFP)の作成をITベンダーに委託しているケースが多く、そのベンダーがそのまま開発を受注するというケースがほとんどであるという事実です。

 おそらくは、今回のお問い合わせの案件においても、過去にそれに関連したシステムを開発したA社がRFPの作成を担当していることが容易に推察できます。

本来であれば、RFPを作成したベンダーが、そのシステム開発の入札に参加すると、公平性が損なわれることは明らかです。

RFPを作成するベンダーにはシステム開発の入札には参加させないというのはひとつの解決策です。しかしながら、今回のように公共系の大規模システムで、関連システムをよく把握している必要がある場合には、関連システムを把握していないとRFPを作ることすら困難であるのが実態です。
そして、RFPを受けてシステム開発の提案をするにしても、新しく参入するにはリスクが高く、結果としてRFPを作成したベンダーが受注するという構図ができるわけです。

それでは、どのような解決策があるのでしょうか。例えば以下のような施策が考えられます。

・官公庁内のIT組織を強化し、RFP作成やベンダー選定を独力でできるようにする。
→ 実際には、官公庁のIT部門は人事異動が定期的にあり、担当システムのことを十分に把握できていないことも多くあります。
・そこまではできなくても、見積評価やベンダー選定を適正にできる機能・能力を内部に設ける。(または開発ベンダーとは別の外部に委託する)
・一定規模以上のシステム開発においては、ベンダー選定結果に対して、外部の審査機関で審査することをルール化する。
 
このような対策をとることで、公共系の大規模IT投資について、費用の適正化を図ることができます。
公共系の大規模IT投資については、今回のケースのように一社独占のような状態にせざるを得ない場合も多くあるのは、致し方ありません。しかしながら、私たち納税者としては、せめて費用の適正化を図って欲しいものです。解決策もあるのですから。

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2013年05月20日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

野口浩之