ITで私たちの生活はどう変わるのか | 青山システムコンサルティング株式会社

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 昨年の年初のメルマガで「クラウドコンピューティング」と「ビッグデータ」のトレンド解説をいたしましたが、さて、今年のIT業界はどういう年になるのでしょうか?
 「仮想化」「クラウドコンピューティング」「スマートフォン」「ビッグデータ」などのIT業界の技術トレンドは今年も益々進化していくでしょうが、大切なことはそれらのITで企業活動や私たちの生活がどのように変わるかではないでしょうか。
 今回はITを利用した先進的な事例をいくつかご紹介したいと思います。

1)SNSを利用した企業のマーケティング活動
 FacebookやmixiなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用した企業のマーケティング活動は、当初SNS上で自社製品の情報を発信したり、アンケート形式で要望や意見を投稿してもらい新製品の開発に役立てたりする間接的なマーケティング活動がほとんどでしたが、最近では以下のように直接的なマーケティング活動に利用する企業が増えてきました。
 某通信販売業社ではAさんが自社の通販カタログを見ながら、「この商品が欲しいなあ」とTwitter上でつぶやくと、しばらくして担当者から「こんにちは。XXXXの田中です。このたびは弊社の商品にご興味いただきありがとうございます。本日現在在庫もございますので、ぜひご検討ください」とAさんのTwitter上に返信があり購入につながったといいます。
 また某旅行会社では、ある人がSNS上で自社に対する書き込みをした際、投稿の内容を「苦情」「ご案内」「お褒め」に分類して直接その人に何らかの返信をしているそうです。
 これらの活動はいずれもアクティブサポートと呼ばれ、問い合わせなどの連絡を待つのではなく企業が能動的に応対することです。主にSNSから消費者の感情を読み取り、タイミング良くアクションを起こすことが大切です。
 また日本中のSNSの投稿を人がチェックすることなど不可能なので、これらの活動を支えるツールやサービスも出そろってきました。これらのシステムにはソーシャルメディア内の発言を収集・分析し、自社が設定したテーマなどで投稿を分類するといった機能があります。
 このようにアクティブサポートとはビッグデータに関する情報技術を利用した企業の新しいサービスなのです。

2)近隣の病院とのネットワーク化で患者の情報を共有
 長野県松本市にある社会医療法人財団慈泉会 相澤病院というところは病床数502床を誇る医療業界では知らない人がいないほどIT化が進んでおり、日本で最先端のIT化医療機関といわれています。
 ここでは患者のカルテはすべて電子化されており、CTやMRIなどの検査画像も自院のサーバーにデジタル化して蓄積し、近隣の病院とネットワークで情報共有しており、地域の医療レベルの高度化に貢献しています。
 デジタル化されたCTやMRIなどの検査画像はその容量が膨大なため、これまではフィルムのまま保管されることが多かったのですが、通信回線の帯域も広くなり、ビッグデータを蓄積できる環境が整い始めた最近では、これらの医療機関のデータ蓄積をクラウドサービスで提供するIT企業も出てきました。
 セキュリティーが完全に担保された上で全国の医療機関が患者の情報を共有できれば、かかりつけの医者でなくても私たちのこれまでの病歴や検査結果のデータからいつでもどこでも治療がうけられる、それこそ「ユビキタス診療」が実現することになります。

 以上のように今後は「仮想化」「クラウドコンピューティング」「スマートフォン」「ビッグデータ」などのIT の進化により、企業活動や私たちの生活がどんどん変化していくものと考えます。
 国土交通省の調査によればモバイル環境で仕事をする人の比率はここ数年5割弱で横ばいとのことです。しかし今後は、スマートフォンやタブレット端末の普及も相まって、どこでもオフィスの環境も進化していくでしょう。加えて、新型インフルエンザの流行や東日本大震災の影響でBCP対策の一環として、ユビキタスオフィスの必要性が見直されつつあります。近未来的には在宅勤務や直行直帰型の勤務形態がさらに拡大して私たちの働き方も大きく変わっていくであろうと考えます。

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2013年01月15日 (火)

青山システムコンサルティング株式会社

谷垣 康弘(元会長)