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2012年6月20日(水) 17:30
事件は発生しました。

「あれ? 社内ファイルサーバーのデータが閲覧できない・・・」
「当社のホームページが閲覧できなくなっている。なぜ???」
「グループウェアが参照できない。明日の予定がわからない(汗)」

 多くの企業で、このような声が上がり始めたことでしょう。そして、
「ちょっとした障害で、そのうち復旧するだろう。」
そう思ったに違いありません。

 ところが、事態はそう簡単な状況ではありませんでした。実際には、もう復旧することができない状況になっていました。

 そう、これは世間を騒がせている、ファーストサーバ社の障害で実際に起ったことです。


(ファーストサーバ社の障害の概要)
ニュースでも大きく取り上げられているとおり、2012年6月20日(水) に “クラウドホスティング”を標榜するファーストサーバ社において、WEBやメールをはじめとするデータとそのバックアップサーバーに保存されていたデータが全て消失するという事故が発生しました。被害にあった顧客件数は5,000件を超えています。

 このような障害は、いつかはどこかのサービスプロバイダが起こすだろうことは、想像に難くありませんでした。実際に発生してみると、やはり悲惨極まりないです。
 従来のレンタルサーバーのようなサービスであれば、このような障害が発生しても影響範囲が限られますが、クラウド環境の場合は今回のように影響範囲が極めて広くなるのです。

 今回の事件から本当に学ぶべきこと、一体何だったのでしょうか?もし読者の皆さまが被害者だとしたら、何を教訓としますか?

 私が最も学ぶべきと考えているのは、
「最後に自分を守れるのは自分自身だけである」
ということです。

 これからは、企業の持つシステムやデータをクラウド環境に移行することが増えてくるでしょう。もちろん、それを受け入れるクラウド環境も、より優れたプラットフォームに進化してゆくでしょう。
 しかしながら、クラウド環境を設計・構築・運用するには、これからも“ヒト”が介在します。そこにリスクは永遠に存在し続けるのです。

「クラウド環境で障害が発生したため、データが消えました。」

その最終的な責任を負うのは、誰なのでしょうか?

 サービスプロバイダも責任の一部は負うことになりますが、最終的にはサービスの利用者自身が被害を受け、その責任を追うことになるのです。
特に、クラウドサービス上でシステムを動かし、それを外部の顧客にサービスとして提供している場合は、注意が必要です。サービスの提供を受けている顧客にとっては、そのサービスを提供している会社のみが全ての窓口となるのです。

 ただし、必要以上にクラウドサービスの利用にリスクを感じることもありません。柔軟にリソースを活用できたり、従量制での課金など、メリットも大きいですから、利用目的とリスクのバランスを十分に考えた上で活用していくべきといえます。

 実際には、今回の教訓を活かして以下のような点に注意して、クラウドサービスを活用していけばよいでしょう。
・システムやデータのビジネス上の重要度はどの程度か?
・バックアップは単一のクラウドサービス内のみで十分か?

「最後に自分を守れるのは自分自身だけである」

 ビジネスにおいて重要度が増すばかりであるITにおいて、この教訓はいつも忘れないでおきたいものです。

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2012年07月01日 (日)

青山システムコンサルティング株式会社

野口浩之