医療ビックデータと医療におけるマイナンバー活用について

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 医療情報のデータの集約が十年以上かけて国家的に行われています。ナショナルデータベース(NDB)と呼ばれるレセプトデータや健診結果データ、DPCデータなどを紹介し、これから始まるマイナンバー制度の医療情報への活用について考察してみます。

 現在、国家的に医療関係でデータを集約しているものには、大きく以下の3つがあります。

一つ目が電子レセプトデータです。数十億件のデータベースとなっており、病院が保険者にレセプト請求したデータが元になっています。請求のために必要な検査行為や病名情報が含まれています。しかし、検査の結果値やレントゲン画像のデータは含まれておりません。

二つ目は、データヘルスと呼ばれる検診の結果データです。数億件ほどのデータベースになっており、特定健診のデータが元になっています。検査結果値や判定値が含まれています。各保険者は健診結果をデータで入手できるようになり、データを利用して被保険者にさまざまなサービス提供や働きかけを行っています。実際に、隠れ糖尿病患者が大幅に減ったという集計もあります。

三つ目は、DPCデータと呼ばれる入院患者の臨床情報データ・診療行為データです。主に急性期病院の入院患者のデータで、現在1700病院以上のデータが集まっています。DPCデータをもとに病院は評価され、請求に影響する係数が各病院に割り当てられています。同じ疾病でも病院毎に支払う金額が異なります。

さらに、2016年1月からは全国の病院にがん登録制度が義務化され、がんのデータの集約も始まります。

しかし、現在各データが十分に利活用できていません。DPCデータは、病院間での比較等に利用したり、レセプトデータは、ナショナルデータベースとしてデータの抽出できる環境を準備していますが、データそのものの課題や運用上での問題点などがまだまだ多くあります。だたし、以前の状態から考えるとデータがここまで集約されるとは想像できませんでした。最近の10年はデータ集約に注力してきたフェーズであったともいえます。

そしてこれからは、各種医療データの利活用のフェーズに入ると考えられます。その時のキーワードがマイナンバー、医療ID(仮称)と医療等中継DB(仮称)です。

前号でお届けしたとおり、民間でのマイナンバーの利用範囲は、主に税務処理での必要性を考慮したものに限定しています。そして、医療情報そのものは非常に機微な情報が含まれるとしてマイナンバーの対象からは外れていますが、医療情報そのものとは切り離されて管理している保険証の有効確認からとマイナンバーを利用したらどうかと議論されています。生活保護の確認や高齢者向け保険は収入によって負担割合が変更されるため、税務業務と関連があるからです。

一方、医療等ID(仮称)と医療等中継DB(仮称)という別の医療等分野における番号制度の検討が始まっています。詳細のご紹介はここではしませんが、医療情報は非常に特別な個人の診療情報がふくまれているため医療情報はマイナンバー制度とは別に管理するとのことのようです。しかし最終的には医療情報はマイナンバー制度に組み込まれるべきでしょう。

これから、今年末に配布される個人番号カードと保険証の融合、各地域で構築されている診療情報共有基盤の全国的な連携、透析患者の全国的な紹介管理、各種疾病情報(がんやうつ病、生活習慣病の情報)の集約による診療支援の有効活用などが検討され、我々へ提供される医療サービスの向上へつながると考えられます。

マイナンバーの基盤が固まるに従い、それを利用したサービスやビジネスがこれから徐々に検討され始めます。今回は医療限定で記載しましたが、さまざまな分野での利用提案がされています。定期的に公的なホームページで情報を入手し、議論の内容を確認することをお勧めいたします。

Data is the new oil
 ビックデータの到来といわれて久しいですが、まさにこれから医療情報分野ではDataを利活用が急加速していくと予想されます。これからの発展に期待したいものです。

2015年03月17日 (火)

青山システムコンサルティング株式会社

嶋田秀光