プロジェクト管理「三種の神器」

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今回のコラムでは、プロジェクト管理の「三種の神器」は何かを私なりに述べてみたいと思います。

コラムの草案を練るにあたり、最初にredmineやtracなどの人気のツールを思い浮かべ、次にEVMやPMBOKなどの手法について考えてみましたが、「三種の神器」としてかかげるには何か物足りない気がします。
これらのツールや手法はもちろんプロジェクト管理に大いに役立ちます。
私も自分が携わるプロジェクトでは積極的に活用しています。

しかし、ツールや手法はあくまでも手段です。
プロジェクトを成功に導く人間の能力にこそ、「三種の神器」と言えるものがあるのではないかと考えたのです。

それでは、私が考える「三種の神器」を説明致します。

■ 一、俯瞰力

一つ目は俯瞰する力、つまり、物事全体を上から見通す力です。

例えば、システム開発のプロジェクトは大小様々な問題に直面します。
人間関係のトラブル、収束しないバグ、予算超過、スケジュール遅延、お客様からの無理な仕様変更・・・

小さな問題であれば、優秀な部下が解決を図り、プロジェクトマネージャーやリーダーには結果だけを報告してくれるかもしれません。

しかし、大きく厄介な問題については、このように言われることでしょう。

「プロジェクトマネージャーのご判断にお任せします」
「リーダーが決めてください」

さて、そのときプロジェクトマネージャーやリーダーは、何を見て、何を聞いて、判断するのでしょうか。
データを集めて隅々まで調査・分析すれば、より正解に近づけるかもしれません。
しかし、それでは時間がかかり機会を逸してしまう場合もあるでしょう。
また、些細なことに囚われ、判断を誤るかもしれません。

システムエンジニアやプログラマーには綿密な調査が必要な場合がありますが、管理者はもっと経営者のような大きなものの見方が必要です。

今手に入るデータやキーマンから聞いた話をざっと整理する。
それらを上空から眺めるかのように俯瞰する。
そこからことの概観や本質をつかみ取り、進むべき道を見つけ出すのです。

私の知っている優秀なリーダーやマネージャーは、
「えっ、それだけの情報で判断できるのですか?」
と思う方が多いです。
彼らにとってはそれで十分なのでしょうね。

■ 二、決断力

物事を俯瞰して解決策が見えてきたら、次に必要なのは「この策で行こう!」と決める決断力です。

考えた解決策が完璧であればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。
また、甲乙つけがたい複数案があったり、特定の人々に損得が生じたりで、決断に迷うことも多いことでしょう。

しかし、決断を先延ばしにすることは「罪」な場合があります。

かつて関わったプロジェクトで、プロジェクト管理チームが設計品質やプログラムテスト方法に疑念を抱き、開発チームにその説明と対策を求めたことがありました。
納得のいく回答が聞けるまで、なんども説明をやり直させ、その先の工程に進むことを許しませんでした。

ある意味、徹底した管理だと言えるでしょう。
しかし、開発チームは自分達の作業の正当性を立証するために徹夜・休日出社を繰り返し、また、迫りくる納期にあせり、すっかり疲弊してしまったのです。

数週間かけてプロジェクト管理チームを説得したものの、両者の溝は深まり、その後は事あるごとに対立するようになりました。
これでは物事はうまく進みません。
最終的には大きな予算超過となってしまいました。

この場合では、プロジェクト管理チームはもっと早く開発チームの評価を決定し、自ら解決策を提示するべきであったと思います。

■ 三、推進力

三つめは推進力です。
前述の俯瞰力で見つけ出し、決断力で決める。
あとは、決定事項を推し進める力が必要になります。

ここで重要なのは、利害関係者の思いのベクトルを一致させることです。
皆の思いがバラバラであったり、決定に不服がある人がいる場合、せっかくの決定事項もうまく進めることが難しくなります。
関係者と話しあい、説得し、一つの方向を向かせる必要があるのです。

私は以前、日本企業で働く外国の若者から次の話を聞きました。

「日本人はひとりだと蟻だけど、集団になると龍になる。
 だから私はそれを学びに、日本に来て働いているのです。」

なんとなく外国人にコンプレックスを抱いていた私は、この言葉に勇気づけられました。
しかし、プロジェクトが「龍の力」を発揮できるのは、皆が同じ方向に向かっているときだけです。

また、ある行き詰っていたプロジェクトを立ち直らせたPMの方から、以下のような話を聞きました。

「進む方向が合っているか、間違っているかは、実は重要ではない。
 重要なのは、みんなが同じ方向に進んでいることだ。
 間違っていたら、みんなで方向転換すればいいだけだ。」

少々強引ではあるかもしれませんが、前進することの重要性を学びました。

俯瞰力、決断力、推進力という「三種の神器」、当たり前すぎるでしょうか。
しかし、これらのことを意識してプロジェクト管理にあたられている方は、意外に少ないように思います。

さて、これは私の思う「三種の神器」です。
みなさんもプロジェクトや業務を進める上での、ご自分達の「三種の神器」を考えてみるのもよいのではないでしょうか

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2014年12月15日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

山口晃司