クラウドサービスの功罪

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 すっかりと世間に定着したといえるクラウドサービス。今回はクラウドサービスがもたらした功罪について考察します。

 近年では「クラウドファースト」という言葉もよく聞かれるように、インフラもソフトウェアも、クラウドサービスを最初の選択肢として検討されることも多くなってきました。クラウドサービスには、多くのメリットがあるからこそ、このような動向になってきたと言えます。

 クラウドサービスのメリットは、一般的には以下のような点があげられます。

<クラウドサービスの一般的なメリット>
・短期間で導入ができる
・初期費用がかからない(もしくは少額で済む)
・運用に手間がかからない
・常に最新のバージョン、機能が使える

これらは確かにクラウドサービスのもたらした「功」であるといえます。

 一見するとメリットばかりのクラウドサービスですが、今回はクラウドサービスがもたらした「罪」に注目したいと思います。

 クラウドサービスのデメリットは一般的に以下の点が取り上げられます 。

<クラウドサービスの一般的なデメリット>
・オンプレミス(自社構築)と比較すると、柔軟性にかける場合が多い
・オンプレミスと比較すると、長期(3~5年)でみると高額になる
・セキュリティに懸念がある
・パフォーマンス(動作速度)が担保されない
など

 これらは確かにデメリットですが、クラウドサービスのもたらした「罪」とまでは言えません。

 それでは、クラウドサービスのもたらした「罪」とは、一体何なのでしょうか。

 クラウドサービスは導入が容易であるため、IT主管部門が導入するだけではなく、事業部門で導入されるケースが多くあります。その結果、事業部門で導入されたクラウドサービスを会社として把握できていない、というケースをとても良く目にします。

 クラウドサービスが自由に導入されていくと、以下のような問題が発生し得ます。

<クラウドサービスが自由に導入されたことで発生し得る問題>
・機密情報が様々なクラウドサービス上に保存され、どこに、何の情報があるかもわからなくなってしまった。
・情報漏洩が発生した際に、流出経路が特定できなくなった。
・基幹システムのサブシステムとして利用を始めたクラウドサービスが、重複入力などの業務非効率を引き起こした。
・利用者・管理者とも不在になったクラウドサービスに費用だけ支払い続けていた。

 
 このような問題が、私の考えるクラウドサービスがもたらした「罪」の例です。読者の皆さまの中にも「明日は我が身」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 これらは決して解決できない問題ではありません。ITガバナンス(※)を整備することで、概ね解決することができます。メリットの多いクラウドサービスを積極的に採用した結果「こんなはずではなかった・・・」とならぬよう、ITガバナンスの整備にも取り組んで頂くことをお勧めいたします。

※ITガバナンスというと、厳しく管理された状況を思い浮かべる方も多いのではないかと思います。実際には、身の丈にあったITガバナンスを整備することは、業務の効率・IT投資効果を高めてくれるのです。こちらのテーマについては、また解説の機会を設けたいと思います。

2014年9月9日
青山システムコンサルティング株式会社
野口 浩之

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2014年09月09日 (火)

青山システムコンサルティング株式会社

野口浩之