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 いま(2013年11月)から5ヶ月後の2014年4月、いよいよ消費税は5%から8%に増税となります。
 私たち一般消費者の立場としては、収入は増えないのに支出ばかりが・・・と、懐事情が厳しくなる一方ですが、増税対応に厳しい思いをするのは一般消費者だけではありません。

 消費税の増税となると、企業もその対応に迫られ、厳しい思いをする企業や担当者の方が多いのではないでしょうか。財務・経理部門での対応はもちろんですが、私たちの携わるITシステムにおいても、消費税の増税対応が必要です。具体的にはどのような対応が必要か、いくつかの例をご紹介します。

今回ご紹介する内容は、以下のとおりです。

(1) 税抜き価格表示の復活
(2) 消費税区分の見直し
(3) 請求書の発行
(4) 複数税率への対応

それでは、それぞれ具体的な内容をご紹介いたします。

(1) 税抜き価格表示の復活
2004年に総額表示が導入されましたが、今回の増税に伴い、税抜き価格表示が復活します。
大手小売企業においても、今回どちらを採用するかについては、方針がわかれているようです。値札に記載する金額は、私たち一般消費者の消費行動に大きく影響を与えますので、今回採用した価格表示が各企業の業績の命運を握る可能性もあります。
 税抜き価格表示を採用する企業については、当然値札やカタログなどの表示内容を変更する必要があるため、場合によっては関連するシステムの改修が必要になります。

(2) 消費税区分の見直し
 現行の消費税法は5%の単一税率であり、今回の増税後も8%で単一税率です。しかし、税率改正前後の経過措置が存在するため、2014年4月からしばらくの期間は、異なる税率(5%と8%)が存在することになります。その後、2015年10月に10% になることも考慮すると、最低でも3つの消費税区分が必要です。
 会計システムはパッケージソフトを利用している企業が多く、パッケージベンダーから上記の要件に対応したソフトが提供されるため、大きな心配はないでしょう。一方で販売管理システム等の業務システムにおいてはスクラッチで開発している企業も多く、対応に大きな負担がかかる企業も少なくはないでしょう。

(3) 請求書の発行
 月末締めで請求書を発行している場合には問題になりませんが、10日締め・20日締めなどで請求書を発行している企業においては、税率変更月をまたいだ2014年4月度の請求書発行時にはシステム改修が必要となる可能性があります。
 対応方法は二つあります。
一つ目は3月末までの分と4月以降分の請求処理を分ける方法です。この場合は、システムが分割請求に対応している必要があります。もし分割請求の機能がない場合は、元の発注を分割することで対応することも可能です。
 二つ目の対応方法は、一つの請求書で複数税率に対応することです。このような機能をもつシステムを利用しているのであれば何も問題はありませんが、新しく機能を追加する場合に発生する改修費用は小さくはないでしょう。

(4) 複数税率への対応
 2014年4月の増税時には発生しませんが、2015年10月の増税時には、課税対象によって税率を変える複数税率の導入が検討されています。
 具体的な内容は検討中ですが、食料品をはじめとする生活必需品は軽減税率が適用されるといったことが想定されています。
 この場合、販売する商品ごとに異なる税率が適用されるため、商品ごとであったり、商品分類ごとに異なる税率を適用できるシステムが必要になります。この対応が必要になる場合は、大規模なシステム改修が発生する企業が多いのではないでしょうか。
 複数税率への対応については、2015年10月を見据え、早い段階からシステムへの影響範囲を特定し、改修計画の策定を進めておくことをお勧めいたします。場合によっては、改修費用がかかり過ぎるため、基幹システム全体をリプレースしたほうが良い選択肢となる可能性もあります。

 以上、消費税引き上げにおいて対応が必要な内容について、いくつかの例をご紹介いたしました。 消費税率引き上げに対するシステムへの対応について、どのような考慮が必要か、ご理解は深まりましたでしょうか?
※ここでご紹介した内容が全てではなく、実際にはより多岐に渡る対応が必要ですので、ご留意ください。

法律の改定は待ってくれません。貴社(および貴社クライアント企業)におきましても、少しでも早めの備えを進めることをお勧めいたします。もし対応にお困りのようでしたら、弊社もご支援可能ですので、お気軽にご相談ください。

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2013年11月07日 (木)

青山システムコンサルティング株式会社

野口浩之