ビッグ・データ活用に取り組む前にやっておくべきこと

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 2013年6月28日、アクセンチュアが発表した「Accenture Technology Vision 2013」で挙げられた7つのキーワードの中で、一番目のキーワードは「Relationships at Scale」でした。
(http://www.accenture.com/SiteCollectionDocuments/PDF/Accenture-Technology-Vision-2013.pdf)
同社は、これを実現するために「全ての顧客と1対1の関係を築く環境を整備しよう」と提案しています。具体的には、『戦略』『体制』『ソーシャルチャネルの利活用に向けた技術』などの整備および導入になりますが、この環境整備を成功につなげるためには、その企業が持つべき前提があります。それは、「データに基づいて意思決定をする文化」です。

【データ活用の分水嶺】
 全ての顧客と1対1の関係を築こうとすれば、取り扱うデータがビッグ・データになってしまうことは避けられません。今後、ビッグ・データの分析が広がり、競争が激化して、インフラを整備するコストが低くなると、いよいよ普及期に入っていきます。このときに、ビッグ・データを活用できない企業は、同業他社に差をつけられてしまうことになるでしょう。活用できる企業とできない企業の分水嶺の一つとして、「データに基づいて意思決定をしているかどうか」が挙げられます。

【「ビッグ」でなくても活用できているか】
 そもそも、ビッグ・データの「ビッグ」の定義は曖昧です。「大きい」とは相対比較であり、既存のデータ・ベースとの比較対象も、データ量であり、速度であり、データ形式の多様性でもあります。また、今日の「ビッグ」が明日も「ビッグ」であるとは限りません。裏を返せば、今日の「データ」を活用できていない企業は、それが「ビッグ」になっても活用できない、ということです。ただし、「ビッグ・データ」になれば、活用ができている企業とできていない企業の差も「ビッグ」なると考えられます。

【差が出るのは、ビッグ・データが整備されるとき】
 データを活用する、すなわち、データ分析に価値を持たせるためには、その分析がニーズに導かれている必要があります。ともすると、興味本位の分析に陥りがちですが、ビジネスニーズに導かれた分析であれば、その結果は、具体的なアクションにつながる可能性が高くなります。
もし、慣習・経験則・社内政治などで意思決定をしているのであれば、データ分析に対するビジネスニーズは発生しません。逆に、今もデータに基づいて意思決定をしているのであれば、その企業では今もデータ分析の人材は日々育っています。そうなると、ビッグ・データのインフラが整備されることで、ニーズに対して応えられる幅が広がり、意思決定の精度が飛躍的に向上することが期待できます。
人材は、企業文化が育てます。時間がかかります。差がついていることが数字として見えた瞬間に慌てても、追いつくまでには相応の時間を要します。
 ちなみに、ビッグ・データの普及期は、「2015~2016年度」という予測を2011年5月にNRIが発表しています。
(http://www.nri.co.jp/news/2011/110524.html)

【データ分析の設計はニーズありき】
 一定規模以上の顧客と1対1の関係を築く環境には、データ分析が必要不可欠です。例えば、小売のマーケティングであれば、アプローチの一つとして、収集したデータに対して、行動心理を購買でフィルタリングし、一人一人異なる人間の行動の傾向を統計的にモデリングすることが考えられます。どんなデータを集めて、どんなモデルを作成するのか、それを決めるのはビジネスニーズです。このニーズに対して「データに基づいて意思決定をしよう」という文化が無ければ、データ分析の設計はできません。

【文化の形成はお早めに】
 まだまだ「ビッグ・データ対応」よりも、取り組むべき課題が山積している企業が多いかもしれませんが、文化の形成はもちろん、それによる人材育成は一朝一夕ではままなりません。とはいえ、「10%の揺るがない信念を持つ人がいれば、その信念は多数派に受け入れられる」という研究発表がレンセラー工科大学からも出ていますので、社員の10%を目標値にするのであれば、遅すぎるということもないはずです。
(http://esciencenews.com/articles/2011/07/25/minority.rules.scientists.discover.tipping.point.spread.ideas)
 今から手元にあるデータを利用した「データに基づく意思決定」を検討し、来るべきタイミングを迎え撃つ準備を始めておいてはいかがでしょうか。

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2013年07月17日 (水)

青山システムコンサルティング株式会社

長谷川 智紀