コラムカテゴリー:ITコンサルティング, その他, 情報戦略/業務改革, 技術, 業界動向, 用語解説
「AI に仕事を奪われる」
そんな不安を覚える方が多いのではないでしょうか。
私はITコンサルタントを仕事にしているわけですが、私自身も「AI に仕事を奪われる」という不安は他人事ではありません。多くの皆様と同様に、私も不安に思うこともあります。
もし生成AIがITコンサルタントに取って代わり、企業のIT・システムについて、最適なアドバイスをしてくるのであれば、多くの企業にとって大きな便益が得られるようになることでしょう。
さて、実際に生成AIがITコンサルタントに取って代わることはあるのか、少し考えてみたいと思います。
そもそも生成AIとは
生成AI(Generative AI)は、大量のデータから学習して新しい情報を生成してくるAIです。テキスト、画像、音声など、様々な領域の生成AIが発展してきています。生成AIは構造化されていないデータをもとに学習・進化していきます。
生成AI の領域は以前からありましたが、ChatGPT のテキスト等の生成の精度がとても高いことが認められ、あらためて注目が集まっています。
ITコンサルタントはどんなことをするのか
ITコンサルタントの役割を私なりに定義すると、
「クライアント企業の課題を解決するために、どのようにIT・システムを活用するべきかの戦略を策定し、その戦略の実行も支援することでクライアント企業に貢献すること。」
といえます。
もう少し具体的な役割に分解してみます。
- 日常的な雑多なことへのアドバイス
- 企業のIT戦略策定についてのアドバイス・支援
- 戦略や計画の実行支援
ITコンサルタントには、もちろんこれらに含まれない役割も多くありますが、今回はこの3点に着目して、「生成AI は ITコンサルタントになれるのか?」を考えてみようと思います。
生成AIはITコンサルタントとして「日常的な雑多なことへのアドバイス」はできるのか
クライアントからの「日常的な雑多なこと」の質問には、当然のことながら、様々な内容があります。
その中で、生成AIが答えられそうなこと、答えられない可能性が高いことを考えてみました。
<生成AIが答えられそうなこと>
- ◯◯業において、IT を活用して業務改善するには、一般的にどのような方法があるか
- ◯◯という技術について、分かりやすく教えて欲しい
<生成AIが答えられない可能性が高いこと>
- 当社の業務効率向上に取り組むにあたって、一番効果がある業務はなにか
- 当社のセキュリティ対策は、十分にできているか
このように、一般的な質問については回答ができる可能性が高いですが、クライアント固有の情報をもとにした質問については、生成AI は回答するのは難しいと考えられます。
ただし、クライアント固有の情報を生成AI に学習させることで、精度の向上はできる可能性があります。
生成AIはITコンサルタントとして「企業のIT戦略策定についてのアドバイス・支援」はできるのか
IT戦略策定については、世間の流行や傾向、クライアント固有の情報をもとに検討する必要があります。
生成AIがクライアント独自のIT戦略を作れるのかというと、難しいと考えます。
IT戦略策定のための情報収集や壁打ちについては、生成AI の活用が有効な手段になることが予想されます。一方で、クライアント固有の情報の考慮、世間の流行や傾向の分析(予測)については、困難ではないかと思います。
生成AIはITコンサルタントとして「戦略や計画の実行支援」はできるのか
戦略や計画を策定したシステム開発等について、実行の効率化のために生成AIを活用することはできる可能性が高いです。
例えば、設計書等の文書作成や、プロジェクト管理については、生成AI の活用による効率化が期待できます。
しかし、例えばシステム開発をする場合に要件定義や基本設計をするのは、当面は「人」であり、ITコンサルタントが支援する領域になると予想します。
ITコンサルタントの直接の支援領域はありませんが、プログラミングなどは生成 AI の活用が一般的になってきていることも見逃せません。
おわりに
「生成AI は ITコンサルタントになれるのか?」
現時点では NO であると言っても良いでしょう。
しかし、ITコンサルタントとして、生成AIを活用しながらクライアントの支援をしていく場面は増えていくでしょうし、そうしていかなければ時代遅れのコンサルタントになりかねません。
生成 AI はますます発達し、広まっていくことは間違いありません。その前提で、皆さまもご自身の仕事で生成 AI を活用してみてはいかがでしょうか。
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2024年01月01日 (月)
青山システムコンサルティング株式会社