人口減少と労働力不足に直面する企業が考えるべきIT活用と業務改革

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我が国日本は、人口減少社会に入ってきていることは、皆さまも周知のとおりです。

人口が減少していくと、企業にどのような問題が発生するのか、その問題はどのように解決していくことができるのか・・・

本コンテンツでは、その解決策の一つであるIT活用・業務改革について、解説します。

記事の監修

野口 浩之
エグゼクティブ・ディレクター(代表取締役)野口 浩之

エグゼクティブ・ディレクター(代表取締役)野口 浩之

情報システムのライフサイクルであるシステム化計画からシステム開発、保守運用まで、幅広い知識と経験をもつ。 その幅広い知識と経験を活かし、IT部門におけるITガバナンスからシステム利用部門の業務改善に至るまで、企業のIT環境を最適化するコンサルティングを強みとする。

人口減少社会が企業経営にもたらす現実

人口減少と少子高齢化は、既に企業経営にダメージを与えはじめており、これからますます影響が大きくなってくることが予想されます。

最たる課題である労働力不足は、既存事業の維持すら困難にするリスクさえあります。

この厳しい現実を生き抜くためには、従来の属人的な経営からの脱却が不可欠です。

このような社会環境の下では、限られた人的リソースで生産性を最大化するためのIT投資(DX、AI への投資を含む)は、企業の存続を分ける鍵の一つとなるでしょう。

日本の人口減少と労働力不足の現状

ITコンサルタントの役割は、企業の経営課題を IT・システムで解決し、事業成長を最大化させるなど、経営目標の達成に貢献することです。

単なるシステム導入の支援にとどまらず、経営戦略に沿ったITロードマップの策定、業務プロセスの最適化、そしてDX推進の伴走支援までを幅広く担います。専門的な知見と客観的な視点から、IT投資の費用対効果の最適化、企業の持続的な競争優位性を築くことに貢献することが本質的なミッションです。

システム開発会社やITベンダーとの違い

両者の最大の違いは「提供価値」にあります。
開発会社やベンダーは、システム構築や製品提供という「手段」の完遂を目的とします。
それに対し、ITコンサルタントは経営課題の解決という「目的」の達成を優先します。
技術や製品ありきではなく、ビジネス視点で「そもそもシステム化が必要か」から問い直し、複数の選択肢から中立的な立場で最適解を導き出す。この戦略性と客観性こそが、コンサルの本質的な差異です。

経営と現場をつなぐ第三者としての立場

人口減少について、実際の数字(予測データ)で確認してみましょう。

本コラムでは人口減少の中でも人手不足に直接関連のある生産年齢人口(15歳~64歳)に注目します。

『国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」』
から、生産年齢人口は以下のように推移すると発表されています。

2015年 7,592万人 (100とする)
2020年 7,341万人 (97)
2030年 6,773万人 (89)
2040年 5,787万人 (76)
2050年 5,001万人 (66)

生産年齢人口の減少は既に始まっており、有効求人倍率もバブル期(1986年から1991年)並という状況です。

なぜ今後さらに労働力不足は深刻化するのか

労働力不足がさらに深刻化する背景には、少子高齢化に伴う「生産年齢人口(15〜64歳)」の急激な減少があります。

これまで労働力を補ってきたシニア層や女性の就労拡大も限界に近づきつつあり、今後は育児や介護との両立による労働時間の制約も強まります。単に人を集めるだけの採用手法は通用しなくなるでしょう。

これからは限られた人員で業務を回すための自動化やITを活用した省人化へのシフトが、すべての企業において急務となります。

労働力不足が引き起こす企業の具体的な問題

人口減少社会の到来は、企業経営に「労働力不足」と「国内市場の縮小」といった危機をもたらします。特に従来の人手に頼る経営は限界を迎えるリスクが高くなることが予想されます。

労働力不足は企業の事業継続を脅かす最大の経営リスクの一つとなるでしょう。
3つの現場を例に、どのような崩壊のシナリオが進行するリスクがあるのかを解説します。

1. 営業現場:機会損失の拡大と顧客離れ

営業部門における人手不足は、ダイレクトに売上低迷へ直結します。
人員が減ると既存顧客のフォローだけで手一杯となり、将来のための新規開拓営業がストップしやすくなるでしょう。
さらに、顧客からの問い合わせへの対応の遅れや、提案の質の低下を招くことで、顧客を失うリスクが高くなることも予想されます。

2. 製造現場:品質低下と技術承継の断絶

製造現場では、限られた人員で生産量を維持しようとするあまり、現場の過重労働が常態化する恐れが高まります。そして現場の慢性的な疲労を生み、不良品の発生や重大な労災事故の発生につながります。
また、日々のオペレーションに追われることで、熟練工から若手への「技術承継」の時間が奪われ、企業の強みである固有技術やノウハウが途絶えるという状況を生み出しかねません。そもそも継承する相手がいないことすら発生し得るでしょう。

3. 物流現場:サプライチェーンの寸断とコスト高騰

人手不足による出荷の遅延や配送頻度の低下は、製造業の部品調達の遅れ、小売業の商品棚を空にするなど、サプライチェーン全体に影響を与えます。さらに、人材の奪い合いにより人件費が高騰し、物流関連企業の利益率を激しく圧迫することになるでしょう。

労働力不足に対してITが果たせる役割

労働力不足に対してITはどのような役割を果たせるのか、3つの観点で解説します。

人がおこなっている業務をシステムで代替する

人がおこなっている業務の多くは、システムで代替することができます。
「システム代替」を実践することは、単なる労働力不足の穴埋めに留まらず、企業に以下の大きな変革をもたらします。

ヒューマンエラーの「ゼロ化」:
疲労や見落としによる入力ミスがなくなり(もしくは減らせる)、業務品質を均一に保ちやすくなります。

業務スピードの「圧倒的な向上」: 
人が数時間かけていた集計や処理を、システムなら数秒〜数分で、夜間でも実行できます。

AI・RPAなどの技術が持つ可能性

人がおこなっている業務のシステムによる代替は、AI や RPA(Robotic Process Automation)により、更に広い領域で、かつ効率的に実現できるようになってきています。
このような技術の活用を避けて企業活動を続けることは、これからは企業としての競争力の維持も困難になるリスクが高まるでしょう。

人にしかできない業務へ集中できる環境へ

業務をシステムに代替することで、単調な繰り返し作業などから解放された社員が、戦略立案や顧客への深い提案、新規事業の創出といった、より「付加価値の高い仕事」に時間を割けるようになります。
もちろん、これまでおこなっていた業務の経験を活かすことができる一方で、新しいスキルが必要な業務を担当するようになることも多いでしょう。
リスキリングに対して、十分なサポートが重要になることは、忘れないようにしましょう。

ツール導入だけでは労働力不足は解決しない

労働力不足に対してITが果たせる役割は多々ありますが、単なるツール導入では労働力不足の解決につながらないことが多いでしょう。

なぜ自社に合わないIT導入をしてしまうのか、以下の3つの視点から解説します。

  • 業務整理が不十分なまま進める
  • ツールの導入自体が目的化している
  • ベンダーへの丸投げ

業務整理が不十分なまま進める

業務整理が不十分なままIT導入を進めると、既存の「非効率な業務フロー」をそのままシステム化するリスクがあります。
現場の無駄な手順や属人的な業務をそのままシステムの機能に実装してしまい、業務が効率化されないという結果になりかねません。

ツールの導入自体が目的化している

他社の成功事例や最新システムに飛びつき、自社が解決すべき課題や現場の業務フローを精査しないまま、最新システムの導入を進めてしまうケースが後を絶ちません。
そのようなケースでは、往々にして「ツール導入自体が目的化している」ケースが多いです。
結果として、システムが現場の負担を増やしてしまうことすら、あり得ます。

ベンダーへの丸投げ

ベンダー任せのIT導入は、自社の業務プロセスをシステムに無理やり合わせることになり、うまくいかないケースが多いのが実態です。
ITベンダーは技術のプロですが、企業の固有業務のプロではありません。ベンダー任せにすると、自社の実態に合わないシステムが構築され、業務改善に繋がらないことが発生し得ます。

人口減少と労働力不足に対応するためのIT導入において、外部支援を活用する5つのポイント

人口減少と深刻な労働力不足に対応するためには、IT・システムの導入・活用は極めて有効な解決策です。しかし、いざ推進するとなると、最新のITトレンドへの理解、自社の業務整理、システム選定、そして現場への定着化まで、求められる専門知識と作業量は膨大です。

多くの場合、社内の限られたリソース(人員・時間・ノウハウ)だけでこれをやり遂げるのは困難を極めます。

そこで、プロジェクトを確実かつ迅速に成功させるために「外部の専門家(ITコンサルタントやシステムインテグレーター)による支援」を活用することは、現実的な選択肢です。

特に中堅中小企業においては、社内の人的リソースも限られますし、採用するにしても困難が予想されるため、外部の専門家を活用することは、必須と言ってもいいでしょう。

ただし、「丸投げ」は失敗を招きます。外部のリソースを最大限に活用し、自社に最適なIT投資を成功させるために、押さえるべき5つのポイントを解説します。

ポイント1:自社の「経営課題」と「導入の目的」を明確に共有する

外部の支援者は技術や業務効率化のプロですが、御社の「経営戦略」や「目指す未来」を最初から知っているわけではありません。

単に「AIツールを入れたい」「Excel業務をなくしたい」という手段を伝えるのではなく、「どのような経営課題(例:5年後の労働力不足を見据えた省人化)を解決したいのか」という目的(ゴール)を言語化し、支援者と共有することがスタートラインです。

目的がブレなければ、最適なシステム選定の軸もブレません。

ポイント2:同業種の「ドメイン知識(業務知識)」と実績があるか確認する

ITの知識が豊富でも、御社が属する業界の商習慣や独特の業務フローを理解していない支援者の場合、現場の実態とかけ離れたシステムを提案されるリスクが高まります。

パートナーを選ぶ際は、単に「システム開発の実績」を見るだけでなく、「自社と同業種、あるいは類似した業務プロセスの改善実績があるか」を確認してください。

ただし、「自社と同業種、あるいは類似した業務プロセスの改善実績」がないからといって、必ずしも依頼することを避けるべきとは言い切れません。期待する領域の実績がなくとも、他の業界であったり、さまざまな業務での実績があれば、新しい領域でも十分に対応ができるケースも多いですし、そういった実績のあるほうが新しいことへの適応能力が高く、貢献度が高くなる可能性もあります。

ポイント3:主導権を渡さない「伴走型」の支援体制を選ぶ

これまでの失敗事例で触れた「ベンダー任せ」に陥らないために、プロジェクトの主導権(意思決定)は常に自社が握る必要があります。

外部支援を依頼する際は、システムを一方的に納品して終わる企業ではなく、自社のプロジェクトチームの一員として「伴走」し、共に議論を重ねながら進めてくれるパートナーを選ぶと良いでしょう。

ポイント4:スモールスタートロードマップをつくる

一足飛びにすべての業務をシステム化しようとすると、莫大なコストがかかるだけでなく、現場の混乱を引き起こすばかりでなく、プロジェクトの頓挫を招くこともあります。

小さな成功体験を積み重ねながら、最終的な全体最適へと繋げるような、段階的なロードマップを描いてくれる支援者を選ぶことをお勧めします。

※ 基幹業務システムの導入など、広い範囲を一気に対応する必要があるケースもあります。

ポイント5:導入後の「現場への定着化」と「自走」までサポートしているか

システムの稼働はゴールではなく、スタートに過ぎません。現場の社員がシステムを使いこなし、業務が効率化されて初めて投資対効果が生まれます。

そのため、外部支援を依頼する段階で、定着化への支援が含まれているか、も重要なポイントです。

また、将来的に外部に依存し続けなくても自社でシステムを運用・改善できる「自走(内製化)」に向けた支援をおこなってくれるかも、確認することをお勧めします。

まとめ

人口減少社会で労働力不足が顕在化していく世の中において、企業によるIT活用は、企業経営を支えるための重要な施策の一つであることは、言うまでもありません。

そして、IT投資を効率的・効果的に進めていくためには、ITコンサルティング会社をはじめ、外部の専門家を活用することは、重要なポイントです。ただし、くれぐれも丸投げはせず、皆さまが主体となって取り組むべきであることも、忘れないようにしてください。

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2026年08月05日 (水)

青山システムコンサルティング株式会社

ASC ホームページ編集部