そのFAXを廃止できるのはいつでしょう?(まずは効率的な運用から)

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東京2020大会をきっかけにして、日本ではいまだにFAXを多用しているという話題がSNSで盛り上がりました。
官公庁では、行政改革の一環でFAX廃止の方針が打ち出されたものの、業務を継続できないという意見が多数寄せられたということでした。

すぐにFAXをなくすことは、たしかにかなり難しいことだと思います。なくせないものですし、なくならないものとも思います。
ですが、FAXによって業務が非効率になっている部分があることにも、すでにお気づきのことでしょう。
FAXをなくせないとしても、利用範囲の限定やクラウド化といった方法で、ある程度の業務効率化が期待できます。

なくせない、なくならない

FAXの利用を継続している理由は様々だと思います。

業務においては、取引先との関係で運用し続けているというお話をよく耳にします。他にも、代替手段がない、業務マニュアルで利用することになっている、などといった理由があるもとの思われます。

デジタル化を進めていくはずの官公庁においても、FAXはやめられないようです。
ハンコ文化を止めていくことと合わせて、FAXも廃止する方針が出されていました。その後、国会対策に必須で官僚からの反発が大きいという複数のニュース記事を見ました。
簡単になくせない実態が垣間見えます。

仕事でFAXを利用している人は半数ほどになるという調査結果があったと記憶しています。
実際、弊社にもFAX番号はありますし、機械(複合機)も設置してあります。最近は送信の機会がありませんが、数年前までは、名刺の発注などに使用していました。

FAXを利用するメリット

FAXを利用することは悪ではないと考えています。
日本の商習慣には合っていると思うからです。

たとえば、見積書をもらったら、「発注書」と書き換えてハンコを押してFAXで送り返せば、それで発注が成立します。
それらの証跡をそのまま紙でファイリングして保管することになっているのではないでしょうか。便利な運用です。

連絡手段としてメールを日常的に使うようになっても、FAXからの置き換わりが進まないのは、ハンコ文化が大きな要素だと思います。
メールでのやりとりがあっても、最終的には紙として印刷して、ハンコを押して、紙で保管するのであれば、紙でのやりとりと同じように見えるFAXのほうが便利でしょう。

仕事用のメールアドレスを個人単位で利用していないという場合もあるようです。
プライベートのアドレスに業務情報は送れないので、仕事用のFAXを利用しているという話を聞いたことがあります。

さらに、紙の上に書かれた文字を目で見て分かる安心感ということもあるのかもしれません。

FAXのデメリット

使い勝手の良いFAXですが、デメリットもあります。
ペーパレス化への逆行ということは、以前から指摘されている点です。それに加えて、最近話題のデジタル化やテレワーク化の足かせになっているという指摘もあります。
FAXを受け取るために出社しているという事例も聞いたことがあります。

紙を消費する

FAXを紙で送信して紙で受信する場合、双方で複数枚の紙を消費します。送り状を付けることもあると思いますし、送り直しが発生するかもしれません。
相当量の紙を消費していることになります。
以前から言われていたエコに加えて、SDGsといったキーワードも出てきている中、企業として改善が求められる部分なのではないでしょうか。

デジタルデータ化が手間

業務のデジタル化を進める上では、各フェーズでの情報をデジタルデータ化することが求められます。見積、受発注、請求などの情報をFAXでやりとりしていると、紙媒体に記載されたアナログ情報からのデジタルデータ化が必要になります。
多くの場合は、紙を見ながらパソコンでの手打ちによる入力に頼ることになります。
デジタル化の先にあるDXも見据えると、効率的とは言い難い部分です。業務を効率化しようとする中で、改革の足かせになってしまいかねません。

オフィスに居る必要がある

会社のFAX番号宛てに送られてきているものは、オフィスに居ないと受け取れません。
コロナ禍でテレワークが推奨されている状況においては、なるべくオフィス限定の作業は減らしたいものです。
BCP(事業継続計画)を考える場合にも、オフィスに居ないとできない仕事というのは、なるべく少なくしておきたいものです。

紙での運用は必須ではない

ハンコ文化が慣習的なものであり、法律上の必須行為ではないということは、すでによく知られています。実際、政府の方針でもハンコはなくす方向です。
加えて、電子帳簿保存法によって、紙での保管は不要になっています。2022年からは改正法が施行され、現在よりも対応のハードルが大幅に下がります。(詳しくは「電子帳簿保存法 2022年1月改正のポイント」もご覧ください。)

電子データとして受け取ったデータは、電子データのまま保管することが認められています。

紙のファイリングはなくせます。
業務ルールや業務マニュアルを変更すれば、紙から電子への置き換えは、容易に対応できる可能性が高いのです。

業務を効率化するために

FAXでのやりとりを完全になくすのは、かなり困難だと思います。
ですが、不要なやりとりをなくすことで、FAX業務は削減でき、ペーパレス化、デジタル化、テレワーク化を進める助けになります。

クラウド化という選択肢もあります。

使用範囲を整理する

まずは、取引先と相談して、現在のFAX業務をメールなどのデジタルデータに置き換えられないか協議してみてください。昨今の事情を鑑みると、相手も同じことを検討されている可能性があります。
すでにメールなどに置き換えられるのに、過去からの慣習だけでFAXを使い続けているのであれば、すぐに運用を変更できるはずです。
代替案を提示しつつ運用を詰めていくことになると思います。単なる置き換えだけでなく、改善案も盛り込むと、お互いに意味のある変革になります。たとえば、PDFをメールに添付し、承認印の代わりに承認者にCCするなどといったことです。

クラウドサービス化する

どうしてもFAXを使い続けなければならないという判断もあると思います。
その場合は、FAXのクラウド化という選択肢があります。
受信と送信をクラウドサービス上で行うものです。オフィスに居なくても送受信が可能で、紙ではなくPDFでFAXを受け取れるようになります。

先にFAXのクラウドサービス利用を開始し、置き換え部分を広げていくという考え方もあります。

FAXに関わる業務の効率化のために

FAXにはメリットもあり、業務によっては代替手段への置換えが困難な場合もあります。取引先との関係などで、FAXを使い続けなければならない事情もあるようです。FAX業務を完全になくすにはもうしばらく時間を要するものと考えられます。

それでも、利用範囲の整理やクラウド化の推進によって、FAXに関わる業務の効率化が期待できます。FAXでやりとりされる情報を減らし、FAXの送受信が可能な場所を限定しないかたちにするだけでも、現在のFAX業務は効率化できるでしょう。

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2021年08月23日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

岩野晃久