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■はじめに

令和3年度の税制改正(財務省発行のパンフレット)に盛り込まれました、
DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制(DX税制)をご存知でしょうか。
今回の改正において、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(脱炭素税制)と並んで、
目玉となった税制の1つです。
現在、どの企業も意識せずにはいられないDXを後押しする制度ですので、
既に適用に向けて検討されている企業も多いかと思います。
税制優遇措置は、適用されれば嬉しいことではありますが、適用を受けるためにはポイントがあります。
以下で、概要をまとめながら解説をしていきます。

■どんな優遇を受けられるのか

DX税制の対象設備は、以下の4つです。

  • ソフトウェア
  • 繰延資産(支出の効果が1年以上続くため、資産に計上した開発費など)
  • 器具備品
  • 機械装置

今回の税制優遇措置は、上記に対する投資額の
「税額控除の3% or 5% あるいは 特別償却の30%」となっています。
特別償却にするかどうかは、会社の財務状況によって異なるかと思いますので、
慎重に選択していただければと思います。

気をつけなければならないのが、投資額の下限が決まっている点です。
「売上高比0.1%以上」となっておりますので、それなりの覚悟が必要となる金額になります。
ちなみに、投資額の上限は「300億円」です。

また、この税制は令和3年4月(2021年4月)から令和4年度末(2023年3月末)までの
時限措置となっており、適用を受けるのであれば、早めに準備を進めていく必要があります。

■適用の要件

デジタル要件と企業変革要件の二つに大別されており、全てを満たす必要があります。
原文をそのまま引用すると長くなりますので、以下に要約をいたしました。

  • デジタル要件
    • データ連携をすること
    • クラウドを利用すること
    • DX認定を取得すること
  • 企業変革要件
    • 製造原価を8.8%以上削減すること
    • 生産性向上や売上高上昇の目標を定めること
    • 投資総額が売上高比0.1%以上であること(上で触れた要件です)

先ほど、「税額控除の3%か or 5%」というご紹介をしましたが、
5%にするための条件は「データ連携・共有を他法人と行うこと」です。
ここでの他法人とは、グループ会社(会社法上の親子もしくは兄弟会社)以外の法人という意味です。
データ連携およびデータ活用は、DXの肝とも言える部分ですので、
外部とのデータ連携も計画に盛り込むことをご検討いただければと思います。

企業変革要件の「生産性向上や売上高上昇の目標を定めること」は、
具体的にはDX計画を策定し、そこに目標値を盛り込むことになるかと思いますが、
DX計画の策定はデジタル要件の「DX認定を取得すること」を満たすためにも必要になってきます。

■DX認定制度とは

デジタル要件の3番目にある「DX認定制度」は、
2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認定制度です。
この認定制度について解説をすると、弊社のコラムでは収まり切らないので割愛しますが、
私の解釈で認定基準を一言でまとめますと「ITと経営を結びつけてビジョンおよび戦略を策定し、
組織的にPDCAを回していること」です。
また、これら実現した上で「ステークホルダーに示すこと」が必要になってきます。

このDX認定に関連して、DX推進指標の自己診断をするサイト( IPAのページ)も公開されています。
項目数が多いので、しっかり腰を据えて入力をする必要があるのですが、
自社がどれぐらいDXの取組みができているのか診断することができます。
また、診断結果をIPAに提出することで、ベンチマークを提供してもらうこともできます。
IPAから提供いただけるベンチマークが有用なのは当然のことですが、
自己診断の入力項目を見るだけでも、「DXでやるべきこと」がリスト化されていますので、
これからDXに取り組む方々にとっては、非常に参考になるコンテンツになっています。

■まとめ

この他にも、コロナ禍により経営環境が厳しい中、
DXを含む前向きな投資をする企業に対して「繰越欠損金の控除上限の特例」も創設されています。
現在の状況で積極的な投資をするのは難しい判断になりますが、これらの制度を活用しつつ、
将来の成長に向けた事業計画を立てていただければと思います。

DX認定制度も、DX税制の認定要件として取り組む必要がありますが、
税制優遇を受けることだけを目標にするのではなく、DX推進指標の自己診断サイトも活用しつつ、
DXを健全に取り組むきっかけにすることができます。

是非とも、これらを活用して、事業の長期的な成長につなげていきましょう。

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2021年04月12日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

長谷川 智紀