青山システムコンサルティングのコンサルティングコラムです

TEL:03-3513-7830|お問い合わせ

コラムカテゴリー:

 システム開発を依頼する際にベンダーへ正しく要求を伝える工夫をしていますか?

「ちゃんと会議で言ったのに・・・」
「そんなこと当たり前だよ・・・」
「どうして想定ができないのかな・・・」
「運用側のことを理解してくれれば、こんな機能が必然なのに・・・」

 結果、機能不足によって使えないシステムになったり、使い勝手の悪いシステムが構築されてしまったりした経験はありませんか?

 直接的な原因は様々ですが、根本的には、ユーザ企業がシステム構築ベンダーに対して正しく要求を理解できるように伝えきれていないから、そのようなことが起こってしまうのです。

 外部のベンダーは、ユーザー企業の特性や業務内容を把握するには時間がかかります。

  では、限られた時間の中で的確にベンダーへ要求を伝えるためにはどのようにすればいいのでしょうか。

  ベンダーと打合わせの際に、私は以下の2点の意識をするよう、ユーザー側企業のプロジェクトメンバーを誘導しています。

 |システムの特性を理解して、要求を伝えること

 そもそもシステムは、指示を元にデータの登録/出力/加工/保管の4つしかできません。システムが考えて、必要な情報が出てくるものではありません。

  例えば、「このような帳票を出力してください」とサンプルだけを提示するユーザー企業があります。システム開発プロジェクトへの参画の経験が少ないユーザーから結論だけを提示するような方法で要求が出てきます。現在の私の業務に必要だから、今のシステムでも出てくるから、といった理由からです。はたしてそれだけでベンダーはその帳票をつくれるでしょうか?

 ベンダーの担当者が優秀であれば、要求を正しく理解することができるでしょう。しかし、多くの場合、プロジェクト開始数ヶ月後で貴社の業務内容や特性・特徴などを把握した上でサンプル提示のみで、要求を正しく理解することはほぼ不可能です。システムから出力できるようにするために担当者に要求を正確に伝える必要があります。帳票の元となるデータや出力項目の算式、出力レイアウトなどの説明が必要です。

 ベンダーの視点にたって、データがいつ登録・蓄積されて、どのように加工して出力されるのかを明示しないと要求どおりの帳票は出力できません。

 |想像力を働かせること

 システムが稼働したときの画面上での操作の流れやデータの時系列の流れ、出力帳票の出力後の流れを具体的に想像しましょう。

 一見、事前に想定業務フローを書くことで解決するようにも感じます。しかし中小企業では、業務フローの記述に馴染みがある方が少なかったり、自分自身の仕事が業務フローに書かれていてもピンとこなかったり、記載された業務フローを理解しようとしなかったりする方を多々見受けます。また、ベンダーから提示されたシステム処理に特化した業務フローはユーザーはなかなか理解することができず、考えることを諦めて鵜呑みにするシーンも多く見られます。

 上述のようにならないように、まずは現在の自身の仕事の全体の流れを把握しましょう。そして、外部のベンダーが作成した資料を確認してみましょう。入力業務であれば、入力原票から入力画面、入力確認、ダブルチェックなどの詳細業務がシステムを使ったときどのようになるか、どのようにしたいかを想像しましょう。システム変更により一部のデータの入力担当が他の方になるかもしれません。その時に必要なデータがきちんと揃うのかなど、詳細まで想像し、ベンダーが作成する業務フローや画面設計書、帳票設計書などの機能要件資料に反映させる必要があります。

 |まとめ

  昨今、どの会社でもDX(デジタル・トランスフォーメーション)への取り組みが活発化してします。しかし、自社だけでDXを完結することは難しいです。外部リソースを使って自社に必要なシステムを組み上げていく必要があります。

 また、DXに必要なシステムの多くは、流通しているパッケージをそのまま利用するには不十分でパッケージにカスタマイズやアドオン開発をしたり、スクラッチ開発したりする必要があります。

 外部リソースのベンダーを選定する際に、背景や機能要件や非機能要件などを提案依頼書として可視化して提示しますが、よっぽどの優秀なベンダーの担当者でない限り、ユーザー企業のシステムへの要求内容は正しく伝わりません。

 要求を提示する企業側は、ベンダーへ要求内容を正確に伝えるために、システムの特性を理解し、利用シーンを想像しながら、プロジェクトを進めていく必要があります。

 

関連サービス

この投稿をシェア

2021年02月15日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

嶋田秀光