導入決定前にERPパッケージ標準機能の評価をしよう | 青山システムコンサルティング株式会社

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 いつの時代にも関係なく、システムの開発には失敗がつきものです。失敗したときの影響範囲が広いからでしょうか、最近、失敗を見聞きすることが多くなりました。 
 周りを見ていると、失敗はスクラッチ(オーダーメイド)のシステム開発やパッケージシステムに大幅に追加開発をしたときに起きることが多いようです。
 そこで、パッケージシステムの導入の失敗の確率をへらすための一つの策として、導入決定前にシステムを短期間実際に動作させて、その挙動を確認することは有効です。

 トータル数億円かかるERPパッケージシステム導入を前提にしたプロジェクトにおいては、失敗防止のために、費用をかけて事前にパッケージシステム標準機能の評価工程を入れることをお勧めします。
 その工程を入れるタイミングは、実現したい業務フローの完了した後やシステムへの要求の取り纏めが完了した後の時期が理想です。
 採用前に実際に動作しているシステムを評価することは、以下の効果を生みます。
  ・自社にとって、不要な機能がある高価なシステムの導入を防げる
  ・評価を通して、パッケージシステムそのものの理解が進む
  ・システムの業務活用のイメージができ、難易度が高い追加開発を事前に防げる

 実施にあたり、以下の4点に注意しましょう。

1)ユーザー企業が主体的に評価しましょう。

 ユーザーの中でもシステム担当者やシステム部署に任せっぱなしにしてはいけません。実際に操作する部署やその部署のキーマンによる評価が必要です。システム担当者と業務担当者でチームを組んで評価することをお勧めします。

2)事前に、比較評価基準を作っておきましょう。

 確認する業務の操作内容や確認したい業務フローも決めないといけません。実際に始まると、あの場合は大丈夫なのか、この場合は大丈夫なのかといろいろ散らかってしまいます。散らかって、穴がみつかることはいいことですが、目的は異なります。最後までやるべきことを事前に決め、比較評価基準を作りましょう。
 その比較評価基準のなかに、不採用条件を盛り込むと、サンクコスト効果(コンコルド効果)の罠にはまらなくなります。

3)期間をかけましょう。

1週間程度で理解できる『構築に数億円かかるERPパッケージ』は世の中にはそうありません。やはり数ヵ月かかるでしょう。それも複数社実施しないと比較できません。2~3社を比較するとなるとトータルで半年から年かけての実施を見込むのが現実的です。

4)費用をかけましょう。

『構築に数億円かかるERPパッケージ』を事前のデモや1、2時間の説明会で理解はできません。ERPパッケージの利用料やコーディネートしてくれるSEに費用を支払って、ERPシステムの理解を深めましょう。

おわりに

このように、ERPパッケージシステムの選定において、事前に費用や労力をかけて、標準機能を評価するぐらい慎重に進めることも選択肢です。企業にとって十年に1度しかない、数億円以上のシステム導入の決定ですから、むしろ実施すべきなのかもしれません。

ベンダーにとっても、要件定義前に業務把握ができたり、コミュニケーションの基盤ができたり、良い効果があるため、積極的にPoC(概念実証)として提案しているベンダーも存在します。ただし、ベンダーから提案されるPoCは、採用前提のPoCになっていることが多いので注意が必要です。

 

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2024年11月25日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

嶋田秀光