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■はじめに

電子契約を導入すると、次の3つのコストを削減することができます。

  • 作業のコスト(印刷・製本・郵送・押印)
  • 保管および管理のコスト
  • 印紙税のコスト

Webで電子契約サービスを検索すると、いくつか見つかるかと思いますが、
大きく分けると固定費型と従量課金型のサービスがあります。
自社のケースで削減コストを試算をしていただくと、
この中からコストメリットがあるサービスを見つけられるはずです。

ここで「よし!自社に導入をしよう!」と前向きに考えるのと同時に
「本当に今までのように紙に押印せず、電子で契約して大丈夫かな?」
と不安になる方が多いのではないでしょうか。

そんな方に向けて、電子契約を導入するポイントをまとめました。

■法律上は問題ない

まずご安心いただきたいのが、法律上は全く問題が無いということです。

関連法に、「e-文書法」(厚生労働省)「電子帳簿保存法」(国税庁)などがありますが、
直接的なのは「電子署名及び認証業務に関する法律」(法務省)です。

ご興味のある方は、原文にあたっていただければと思いますが、
「電磁的記録が、本人による電子署名が行われれば、真正に成立したものと推定する」
(筆者により一部要約)と記載されており、法的な有効性が規定されています。

ここでの「本人による電子署名」には、
本人以外の署名ではないことの証明と改竄されないように保管することも含まれていますが、
既存サービスの利用規約に違反することなく利用すれば担保ができます。

具体的な操作はサービスごとに異なりますが、基本的には
「個人の確認(IDとパスワード、電子手書きサインなど)と個人に紐づく権限設定
(代表のみ署名が可能な契約書の設定など)」
「電子文書から作成した暗号(ハッシュ値)」
「信頼できる第三者(認証局)によるタイムスタンプ」によって、
「本人証明」「存在証明」「非改竄証明」が実現されています

逆に、「IDの使い回し」等により「なりすましが可能な状態」にすると、法的に成立しないことになります。
紙の契約書の場合、代理で押印することもできたかもしれませんが、それと同じ意識で運用をしてはいけません。

■段階的に対象を増やす計画にしよう

導入当初から、全ての業務を切り替えようとすると、ハードルが高くなります。
最初は、できるところだけ適用させて、徐々に広げていく計画にすると導入しやすいです。

既存の取引先ですと、説明も切替も大変なケースがあるかと思います。導入初期に適用させる契約書としては、
新規の取引先とのNDA(秘密保持契約書)および発注書、雇用契約書などの社内書類などが候補になるかと思います。

また、自社に導入済のワークフローやSFA・CRMなどの既存システムと連携をして、自動化をしたくなりますが、
こちらもAPI連携の確認などをすると、それなりに時間がかかります。焦らずに進めることが肝要です。

ただし、将来的にシステム連携が可能かどうか、というのはサービス選定のポイントの1つになりますので、
自社内の契約書を洗い出して、どの契約書を電子化するのか、長期的な計画は立てておきましょう。

余談になってしまいますが、ここでTipsを1つ。
長期的な計画を遂行するための責任者を任命しておくと、継続的にメリットを拡大していきやすくなります。

■社内規程を確認しよう

自社の社内規程を確認すると、そもそも文書管理の規程が無かったり、
そのままでは電子契約に適用できないケースもあるかと思います。
おそらく、導入に二の足を踏む方のほとんどは、ここが面倒に感じられているからではないでしょうか。

新規程の規定および改訂のポイントは、電子契約の適用対象を定義するだけでなく、
保存や廃棄を含めた「文書のライフサイクル」を意識することです。

とはいえ、そんなに難しい話ではなく、「保管期間」「訂正削除の原則禁止」と
「訂正削除の特別なルール(承認フロー)」を盛り込むだけです。

適用対象の規定は、社内の契約書を洗い出した中から「電子契約を許可する契約書」を書き出すだけです。
もちろん、紙の契約書は今までどおり有効であると規定します。

なお、「定期借地権設定契約」など、2020年7月現在、法律で書面が必要であるとされている契約書があります。
こちらは、電子契約の対象にすることができません。
ただし、電子化が認められている契約書が年々増えていますので、
規定時に確認をするようにしていただければと思います。

■紙の契約書を電子データ化して一元管理しよう

ほとんどのサービスで、紙の契約書をスキャンして保管できるようになっていますので、
少なくとも導入後に紙で締結した契約書は、電子データ化していくことをオススメします。
期間を決めて、遡ってスキャンすることも有効です。

私個人の見解としては、上で挙げた3つの削減できるコストの中で「保管と管理のコスト」は、
使い続けることで徐々に積み上がっていくものであり、最終的には最も大きなメリットになると考えています。

契約書のファイルを保管しておくキャビネットにかかる家賃も、
ファイリングの作業や後から見直すときの検索作業にかかるコストも、契約書が増えれば増えるほど嵩みます。
こういった目に見えにくいコストは、導入時に試算をすることも難しいですが、
削減できていると会社が筋肉質になります。

■まとめ

いかがでしたでしょうか。
電子契約の導入における不安が少しでも払拭できましたら幸いです。

クラウドの電子契約サービスを選定することにより、
緊急事態における事業継続リスクを下げることにも役立ちます。
台風や大震災、大規模な感染症といったコントロールできないリスクに晒されている今だからこそ、
前向きに検討をなさってみてください。

不明点などがある場合には、弊社コンサルタントまでお気軽にご相談ください。

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2020年07月13日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

長谷川 智紀