電子帳簿保存法改正の変更点

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先月から受付を開始していた確定申告・青色申告の締切りもついに迫ってきました。個人事業主の方、副業をされている方、医療費をたくさん払われた方、年末調整漏れがあった方などが申告の対象者ですが、ここ数年はふるさと納税や災害被災地への寄付などを行い、寄付金控除の適用を受けられる方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?私も先日申告を済ませたのですが、領収書の整理、記録、保管に多くの時間と手間がかかってしまいました。

今回のコラムでは今年(2017年1月1日)から領収書や請求書の電子化と電子データの保存の手間が少なくなった改正電子帳簿保存法について少しご紹介したいと思います。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は約20年前の1998年から施行されているため、ご存知の方もいるかと思います。ただ、この20年前に施行された法律では、領収書や請求書などをスキャナーで読み取り保存することは認められてなく、最初から電子的データとして作成した一部の国税関係帳簿のみ電子化が認められていました。そこで、2005年にe文書法が整備されたのを受け、納税者の帳簿類の負担軽減のために電子帳簿保存法が改正されて、スキャナー保存制度が導入されました。しかし、このスキャナー保存制度の適用を受けるためにはハードルが非常に高く、認証事業者の「電子署名とタイムスタンプを電子書類に押印すること」と、「金額が3万円未満の文書」のみ電子保存が認められていました。今回再度改正されたことにより、今までより多くの企業や個人が改正の恩恵を受けることが予想されています。

何がどう変わったのか?

では今回の改正によって何が変わったのでしょうか?大きく分けて3つの変更点があります。

  1. 電子署名/タイムスタンプ
  2. 金額基準
  3. 保存形式・保存要件

1 電子証明が不要に(ただし、タイムスタンプは必要)

先ほど述べたように、今までは電子署名が必須でしたが、今回の法改正により電子署名は不要となりました。ただし、タイムスタンプの要件はあり、認定事業者の発行するタイムスタンプを押す必要があります。

  • 複数枚にわたる書類は各書類ごとにタイムスタンプを付与。
  • 台紙に貼付された書類は台紙ごとにタイムスタンプを付与。

2 金額基準が撤廃

3万円以上の領収書や請求書は重要度が高いという理由で紙の原本でしか保存が認められていませんでしたが、改正により3万円基準が撤廃されました。これによりすべての帳票がスキャナーによって保存可能となりました。

3 保存形式・保存要件の見直し

保存形式が厳格であったという点も、今までスキャナー保存が進まなかった原因要因の一つです。今回の改正ではグレースケールでの読み取りが可能となった他、重要書類以外については、原本書類のサイズに関する情報の保持という要件の撤廃がなされました。また、今回の改正によって、スマホカメラでの撮影も可能となりました。

どんなことに注意すべきか?

法律が改正され、要件が緩和されたからといってもやはり注意すべき点はいくつかあります。

帳簿書類の電子保存に関する注意点

  1. 最初から一貫してシステムで作成した書類であること
  2. 訂正削除履歴が確認できること
  3. 保存データが出力可能であること
  4. 記録が速やかに検索可能であること

スキャナー保存に関する注意点

  1. 書類受領後、速やかに入力すること
    ※受領者または作成者本人がスキャナーで読み取る場合は「特に速やかに(3日以内が目安)」スキャンする必要がある
  2. タイムスタンプを付与すること
  3. 入力者情報を確認できるようにすること
  4. チェック体制を構築し、定期的な監査を実施すること

上記の注意点を無視したり、要件を満たさない方法にて電子保存をした場合は、仮に本人の誤解が原因だったとしても、税法上の違反として取り締まりの対象となり、税法上の各種特典を取り消されるなど不利益を受けることになります。

今回の改正により、帳簿や領収書等の書類の電子化が普及し、その結果、社内処理の早期化や原本検索が容易にできるようになるなどのメリットが期待できます。さらに、タイムスタンプの利用は今後も必要で、ある程度のコストはかかりますが、原本保管費用や業務効率化により十分ペイできると思われます。
事業規模の大小にかかわらず、帳簿類の電子化によってこれらメリットの享受が可能となります。来年の申告に向けてこれから電子化について検討してみられるのは如何でしょうか?

2017年03月14日 (火)

青山システムコンサルティング株式会社

田中純