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 システムインテグレータ(SI)とゼネコンは似ていると言われることがありますが、皆さんは、どのような点が似ているか思いつきますか?

 共にプロジェクト管理が必要な点は似ている点の一つですが、プロジェクトが元請けを頂点として下請け構造が出来あがっている業界構造も、よく似ている点としてとりあげられます。元請けとなる大手のSIがシステム開発を下請けに、下請けが孫請けに発注する構造は、まさにゼネコン業界と同じです。一般的には、システムの発注元である顧客企業に提出された見積書の金額には実際に下請けに発注する金額にかなりのマージンが上乗せされているため、顧客企業の立場からみると割高になってしまいます。

 このようにゼネコン業界と似ていることから、“ITゼネコン”などと呼ばれることがあるシステム開発の現場ですが、最近では新しいスタイルが出始めています。キーワードは、“経営スピード”と“コスト削減”です。

 ご覧になった方も多いと思いますが、2013年2月21日の日本経済新聞(朝刊)に、『システム開発 異変』という記事が掲載されました。この記事によると、メールシステムや各種経営管理システムの 10年ぶりの刷新を進めるミサワホームは、従来の大手SI企業への一括発注を見直し、個々のシステムごとに米国や中国企業などに分散発注する手法をとり入れたそうです。「3ヶ月で結果が欲しい」といった情報システム部部長のコメントのとおり、経営スピートが求められる環境の中で、従来通りの大手SI企業への一括発注では実現できない短期間での成果を重要視したようです。

 弊社では、以前からゼネコン業界と似ているSIの業界構造に着目し、「システム開発の現場への、コンストラクション・マネジメント方式の導入」を提案してきました。コンストラクション・マネジメント方式とは、建設業界で活用されている「建設生産・管理システム」の一つで、発注者の補助者・代行者であるCMR (コンストラクション・マネジャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計や工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うものです。

 工事の依頼主がゼネコンに丸投げで発注するのではなく、CMが発注監理をゼネコンに代わって実施することを前提に、依頼主が直接それぞれ専門の工事会社に発注するため、下請けの工事代金に上乗せされている余分なマージンを削減することができます。弊社のような中立的なコンサルタントがCMの位置づけでプロジェクトに参画することで、システム開発の現場でもコンストラクション・マネジメント方式が活用できると考えております。システムの刷新は頻繁に行われるものではないため、企画から導入までの一連のマネジメントノウハウを社内に蓄積するのは困難です。そのため、CMは外部の経験豊富な専門家を活用するのが、望ましい業務領域といえます。

 世界市場を対象としたクラウドサービスや基本機能を備えた半製品パッケージソフトの増加などシステムを取り巻く環境が以前より多様化してきました。経営スピードとコスト削減が求められる中、大手SI企業への丸投げから、いわば、いいとこ取りの小規模分散発注が今後さらに増えてくると予想されます。顧客企業側でのシステム全体のコーディネート力が求められ抱えるリスクが大きくなるものの、このような取り組みを検討していく価値は十分にあると考えます。
 

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2013年03月12日 (火)

青山システムコンサルティング株式会社

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