人工知能は業務知識の共有に役立つのか

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会社業務を長期継続するために、業務知識やノウハウの効率的な継承は大切なことです。 複数の人間が集まって同じ目標に向かったり、共通のルールに則って行動したりするためにも、決まりごとや考え方を共有することが重要になります。
共有された業務知識へアクセスする方法はいくつか考えられますが、最近話題になってきているのは、人工知能の活用です。

今回は、人工知能の利用事例をいくつかご紹介し、業務活用の可能性を考えてみます。

近年、さまざまな作業が機械化、自動化、システム化されて、それまで複数人体制だった作業を1人で担当するといった事例が珍しくなくなりました。知識や情報が個人に集中するようになり、担当者1人がいなくなってしまうと業務が回らなくなるという事態にも陥りかねません。
担当者が交代することになっても業務水準を低下させないためには、一定レベル以上の技術、サービス品質を確保する必要があります。業務知識や各種情報をどのように共有するかが重要な課題です。

IBM社が開発した人工知能「Watson(ワトソン)」を大手銀行のコールセンターで導入するというニュースが、昨年末、話題になりました。Watsonは、多くの情報の中から、必要な回答を見つけ出す能力に特化した人工知能です。
銀行のコールセンターでは、オペレーターが入力したテキスト情報を読み取り、過去の対応事例等の情報の中から最善と判断した回答の候補を表示してくれます。オペレーター経験が浅い担当者でも、一定のサービスレベルの提供が期待できます。現在、日本のメガバンク3行中2行で、この人工知能が利用されています。

医療分野では、患者の症状や検査情報をインプットとして、病気を推定する方法としてWatsonが活用されています。同じことを訴えている患者でも、それまでの病歴や個人の体質によって、かかりやすい病気は異なります。多くの病名、症例の中から、患者の状態を診断するためにはある程度の診察経験が必要です。人工知能を活用することで、ある程度の経験と同等の知識を得られるようなサポートを受けられます。
また、すでに一般販売されているソフトバンク社のロボット「Pepper(ペッパー)」は、Watsonと連携して接客や応対における回答精度を向上させています。家庭内での情報提供や店舗での接客業務が期待されているロボットですので、どういった応対が求められるのかというノウハウを整理した状態で蓄積することで、常に一定以上の応答品質を保てます。

身近なものとしては、スマートフォンに搭載されている音声アシスタント(iOSのSiriなど)も、広義の人工知能といえます。現時点では日本語に未対応なものの、マイクロソフト社の最新OS「Windows 10」には「Cortana(コルタナ)」という音声アシスタントが標準搭載されています。
これらの音声アシスタントは、利用者が何か質問をすると、発言内容を文字情報に変換して解析し、自デバイス内かインターネット上から回答を探し出してきます。
余談ですが、日本マイクロソフト社が独自開発した人工知能「りんな」は、女子高生という設定で、LINEの友だちになると日本語で自動応答してくれます。一瞬で応答するりんなを口説く行為が、一部で流行っているようです。

これまで挙げた人工知能に共通していることは、質問に対する回答を自動的に探し出してくるということです。
回答候補となる情報はさまざまですが、必要な情報をあらかじめデータベースとして整備することで、効率的な業務利用が可能です。実際、メガバンクでのWatson活用においては、業務マニュアルや問答集をデータベース化しています。

現状では高価な人工知能は、大手企業でも導入を慎重にならざるを得ませんが、テクノロジーの定説として、いずれは低価格化し一般的なサービスになることが容易に想像できます。業務知識の整理をしっかり行っていれば、将来、スムーズな人工知能導入が可能になることが期待できます。
現状のナレッジマネジメントに加えて、将来の人工知能活用も視野に入れ、自社内の知識整理を考えてみてはいかがでしょうか。

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2015年09月15日 (火)

青山システムコンサルティング株式会社

岩野晃久