青山システムコンサルティングのコンサルティングコラムです

TEL:03-3513-7830|お問い合わせ

コラムカテゴリー:,

私はプロジェクトにPMOとして参画することが多く、時にはPMの負荷を軽減するため、チームリーダーなどから提示される資料のレビュー/事前チェックを行います。

今回のコラムでは、私がレビューや資料作成者とのやり取りを通して感じた、相手に伝わる資料を作成するための大切なポイントをご説明します。

下記のような提案資料を目にしたことはありませんか。

 ・伝えたいポイントがわからない
 ・ごちゃごちゃしており、確認する気にならない
 ・提案資料なのに情報が乏しく、採否の判断ができない。

あるプロジェクトで生じた問題について、チームリーダーが解決策の提案資料を作成しました。
それをPMに説明したところ、

「言いたいことがわからない」「やりたいことはわかるけど、判断ができない」

というコメント。
困ったチームリーダーから資料をどのように修正すれば良いか相談を受けました。

その資料は10ページ程度で、ほとんどを文章で埋め尽くされていました。
チームリーダーにヒアリングしたところ、以下のことがわかりました。
 ・作業担当者がチームリーダーの指示を受けて作成した資料であること
 ・チームリーダーは資料作成が得意でなく、レビューが甘かった
その後、私も加わって資料を修正した結果、ようやくPMに承認してもらうことができました。

 

それでは今回のケースでは何が問題で、それをどのように解決していったのか、解説します。

私は、伝わる提案資料にするためには

 ・主張が明確であること
 ・相手が主張に納得できること

が重要であると考えています。
これらは、資料作成の際に目的を整理することで抑えることが可能です。

では、資料の目的や構成をどのように整理すればよいでしょうか。
ポイントは以下の3点になると考えます。

 ①資料の作成目的が明確となっているか
 ②主張が明確に表現されているか
 ③相手の立場に立って作成されているか

詳細は以下のとおりです。

 ①資料の作成目的が明確となっているか
   その資料がなんのために作られたのか。目的を明確にすることが大切です。
   例 報告用の資料なのか、相手に何か行動を促したい資料なのか、など

 ②主張が明確に表現されているか
   資料内に、主張したい点を具体的に記載し、その主張の根拠となる情報を記載することで、
   誰が見てもわかるようになります。
   また、根拠となる情報は出来るだけ定量的に表現することが望ましいです。

 ③相手の立場に立って作成されているか
   相手によって、必要な内容や情報の粒度は異なります。
   相手が関心のない情報をいくら並べても、相手に響かないばかりか、
   情報が多すぎて混乱させてしまうことがあります。
   また、資料の煩雑化を招き、見る気が失せてしまいます。

   ポイントを箇条書きにする。図やグラフなどを使い視覚的に表現する。
   冗長な資料や本筋ではないが読み手が気になる可能性が高い情報などは、
   巻末や別資料として用意しておくなどの工夫をすると内容がわかりやすくなります。

 

今回の事例では、このポイントに基づき、以下の通り問題点を修正しました。

◆資料の問題点と修正内容

 〇資料の問題点①
  相手に伝えたいポイントがわからない
 【修正内容】
  最初にサマリページを用意するとともに、提案内容を具体的に明文化しました。

 〇資料の問題点②
  ごちゃごちゃしており、確認する気にならない
 【修正内容】
  ・文章による説明が多く冗長であったため、言いたいことを整理し、箇条書きにしました。
  ・概要図・表・グラフ等を用いて内容を視覚化し、具体的にイメージできるようにしました。
  ・本筋ではない補足情報・詳細情報については、参考資料として巻末に添付するようにしました。

 〇資料の問題点③
  提案の根拠が乏しく、また対案が無いため、採否の判断ができない。
 【修正内容】
  もとの資料に対策案は一つしか記載がありませんでしたが、
  ヒアリングにより他の案はあえて記載しなかったことが判明しました。
  他の対策案と各々のメリデメ/工数/スケジュール/リスク等を記載することで、
  対策案の比較や選択を行いやすくしました。

 

今後資料を作成する際や、レビュアとして他者の資料を評価する際には、その目的をヒアリングし、上記のポイントを抑えているかを確認してみてはいかがでしょうか。

本コラムの内容が、今後の資料作成やレビュー時にお役に立てば幸いです。

関連サービス

この投稿をシェア

2018年10月15日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

高橋 和大