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はじめに

今まさにプロジェクトを立ち上げようとしている皆様、「ステークホルダー」は押さえられていますか?

プロジェクトマネジメントと言えば、Q(品質)C(コスト)D(スケジュール)の管理が真っ先に浮かぶかと思いますが、ステークホルダーもまた重要な管理対象なのです。

ちょっとした見落としやケア不足で、突如としてプロジェクトの行く末が180度変わってしまうこともあるほど、ステークホルダーの存在は侮れません。

プロジェクトにおけるステークホルダーとは

プロジェクトに何かしらの影響を与えそうな、或いはプロジェクトによって何かしらの影響を受けそうな人や組織なら、ステークホルダーになり得ると心得ておくべきです。

例えば、プロジェクトで生み出すプロダクトやサービスを使うエンドユーザーや、事業に関係する公共機関などもなり得ますし、中にはプロジェクトが対象とする業務に昔関わっていた、というだけでもステークホルダーになる可能性はあります。

そうした中でも、社内や業界内に強い発言力のある人や、隠れたキーパーソンなどは、次にあげるようなリスクを軽減するためにも、特に押さえておきたいステークホルダーになります。

ステークホルダーを押さえられていないとどんなことが起きるか

例えば、次のステップへ進もうとしている重要な会議の場などで、思ってもみなかった人から強力な「待った」をかけられてしまうケースがあります。それによって、プロジェクトに致命的な遅れを発生させてしまったり、最悪それまで入念に進めてきたことが根底から覆ってしまったりすることさえあります。

また、プロジェクト終了後に、「こんなこと聞いていなかった」「これでは困る」などといった声が予期せぬところから上がるケースもあります。その声の大きさによっては、プロジェクトが当初目論んでいたものとは全く違った結果となり、期待していた成果がほとんど得られない、といったことも起きかねません。

ステークホルダーの押さえ方

こうしたことを起こさないためにも、ステークホルダーをきちんと洗い出し、各々の特性に合わせて適切なコミュニケーションをとっていくことが必要です。

①洗い出し

洗い出しはプロジェクトの企画・構想段階から入念に行っておきたいものです。見落としがないよう、社内外を広く、そして注意深く見渡しながら、各所に聞き取りを行うなど積極的に情報収集に努めます。社歴が長い人や、プロジェクトが対象とする業界・業務に精通している人に意見を求めるとより効果的です。組織図や職務分掌などオフィシャルな情報からは見えない、非公式な権限や力関係もきちんと押さえるようにしましょう。

洗い出した各ステークホルダーについては、その役職や立場、プロジェクトとの関連性はもちろん、経歴や性格、人間関係などといった個人的な特徴も押さえておき、この後にコミュニケーション方法を検討する際の参考にします。

洗い出しの結果、プロジェクトへの影響度が大きいと思われる人などは、プロジェクトメンバーとして体制図に含めることを検討してもよいでしょう。

②コミュニケーション方法の検討

洗い出した各ステークホルダーの特性を考慮して、各々に応じた適切なコミュニケーション方法を検討します。

例えば、発言力の強い人に対しては、“事前にきちんと説明・交渉をする” “メールと対面を使って高い頻度で情報共有をする”、プロジェクトに批判的・懐疑的だと思われる人に対しては、“まずはしっかり話を聞いて不満の中身を明確にする” “会議のときは仲の良いXXさんにも参加してもらう”といった具合です。

ここで検討するコミュニケーションは必ずしもオフィシャルな会議体である必要はありません。非公式な場を使うことも含めて検討します。重要なのは密に、本音で話ができることです。実のある話ができ、ステークホルダーと良好な関係を築ければ、プロジェクトの成功率を高めることにもつながります。

終わりに

ステークホルダーの管理は、その対象が人間そのものとなるため、客観的な評価も難しく、関わり方についても「正解」と言えるものはありません。また、全てのステークホルダーを完璧にケアすることも不可能です。しかし、少なくとも、その存在をきちんと認識し、気を付けながら関わっていくのと、それをしないのとでは、プロジェクトにおけるリスクの度合いは変わってきます。

思わぬところでプロジェクトが痛手を負うことにならないよう、ステークホルダーもまた管理が必要な対象であるとご認識頂ければと思います。

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2023年08月09日 (水)

青山システムコンサルティング株式会社

近藤直樹