ITシステムデューデリジェンスを実施するメリット
一般的にいうデューデリジェンス(資産査定)とは、事業の資産価値を金額ベースで評価することを指します。企業が他社の吸収合併や事業再編を行うときなど、果たして本当に適正な投資なのか、また投資する価値があるのかを判断する目的で行われます。
ITシステムデューデリジェンス(ITDD)は、上記に加えて、または個別に、ITシステムについての調査および評価を行うことです。ITシステムを調査および評価することで、以下を適切に把握することが可能となります。
- IT基盤やIT統制状況
- 保守、運用状況
- IT投資状況、等
買収側と被買収側のITシステムの現状をしっかり把握することは、今行おうとしているM&Aや事業再編のみならず、将来のM&Aなど今後の事業活動を見据えた企業価値を評価することにも繋がります。
M&Aを成功に導くITシステムデューデリジェンス
昨今、システムと企業経営・ビジネスは切っても切り離せない関係になっています。システムを軽視してM&Aを行った場合、システムがボトルネックとなり、M&Aにより期待される効果の実現に思わぬブレーキがかかる場合があります。
M&Aの調査段階におけるITシステムデューデリジェンスでは、以下の項目について適切な評価および判断を行う必要があります。
- 買収側と被買収側のどちらのシステムが有益なのか?
- カーブアウトの場合は、どのシステムが残せて、どのシステムの入れ替えが必要なのか?
- 既存システムを活かすべきか、新システム導入に踏み切るべきか?
- 継続使用するにあたりさらに追加投資がかかるのか、ランニングコストはどうか?
- 他にどのようなリスクがあるのか?
業務とシステムの専門性が求められる
ITシステムデューデリジェンスは業務とシステム両面の深い知識と経験を要するため、ファイナンスを専門とするM&A担当者やSI’er、ITベンダーの技術者には手に余るところです。
ASCは常に経営の視点でシステムコンサルティングサービスを提供しており、お客様の業務とシステム両面の改善において多数の実績を有します。そのノウハウを活かし、下記のITシステムデューデリジェンスを提供しております。
なお、ASCの提供するITデューデリジェンスは、買収企業、被買収企業、M&A仲介企業の何れからのご依頼に対しても提供可能なサービスです。
ASCの提供するITシステムデューデリジェンス
1. システムの適応性、費用、リスクの評価
M&Aにおいては被買収側のシステムについて、次のような事態が判明することがあります。
- 被買収側のシステムを活用した店舗拡大を考えていたが、システムが構造上の性能限界に達しており、店舗拡大に対応できない。
- 特定のITベンダーに依存したレガシーシステムであり、何をするにも時間とお金がかかる。M&A後の保守・運用においても何かと期間と費用がかかり、小回りが利かない。
- システムの保守・運用が属人的であり、設計書や運用マニュアルがない。新体制での保守・運用を軌道に乗せるためには、ドキュメント整備や育成などで相当の手間やコストがかかる。
- カーブアウトの場合は、カーブアウト前の企業全体で利用しているシステムへの依存度が高く、カーブアウト時のITシステム整備に膨大な費用や期間を要する。
このような事態はM&A 後の事業展開や予算に少なからず影響を及ぼします。M&A の調査段階で明白にし、判断や対策を行うべきです。
ASCでは下記の視点で業務及びシステムを調査し、「システムの事業への適応性」「必要となる費用」「今後の懸念事項と対策」を明確にします。
- 機能の網羅性 ⇒ M&A後の事業に必要な機能をシステムが網羅しているか
- 品質 ⇒ システムの品質は確保されているか。今後システム障害発生のリスクはないか
- 維持管理の容易性 ⇒ 今後のシステムの運用にあたってリスクはないか
2. システム資産価値の評価
システム、特にスクラッチで開発されたアプリケーションの資産価値は曖昧になりがちです。しかし、M&Aにおいては買収側と被買収側双方の利害関係者が納得できる客観的かつ根拠のある資産価値を明示する必要があります。
ASCでは製造原価法、回収期間法、正味現在価値法、ファンクションポイント法などからケースに応じてベストの算出手法を選択し、システムの適正な資産価値を算出します。
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