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記事の執筆

田中 直
前職ではシステム改善・開発の提案から要件定義、設計、プログラミング、試験、運用サポートまで、プロジェクトの全工程に従事していたが、より上流工程に特化してクライアントへ直接的に貢献したいとの思いから、ASCへ入社する。ASC入社後は、前職での豊富なシステム開発経験・知識に加えて中小企業診断士としての知見を活かし、経営的な視点も踏まえたシステムコンサルタントとして活躍している。
皆さんはスポーツをしていますか?
今回はゴルフのデータ活用についてのお話ですが、データ活用の重要さはスポーツ全般に通ずると思います。
スポーツを楽しむことにおいては、何も考えずにただスポーツをして体を動かすことが楽しい、ということももちろんあるかもしれませんが、どんなスポーツにおいても、上達するとより楽しめる、上達するプロセスが楽しい、といった「上達する」ことも目的とすることが多いのではないでしょうか。
今回は、「上達する」ためにどのようにデータを「活用」していくべきなのかを考えてみたいと思います。
私はゴルフを始めて5年ほど経ちます。スコアはまだまだ初心者に毛が生えた程度ですが、ゴルフでの「上達」=「スコア(打った回数)を下げること(ゴルフは少ないスコアの方が良いスポーツです)」なので、日々どのようにすればスコアを下げていけるのか模索しています。
今のところ、毎年年間のアベレージ(1年のラウンドのスコア平均)は少しずつですが良くなってきているので、大きく方向性は間違っていないのかもしれません。
本題に入りますが、「データ活用」には大きく3つのプロセスがあります。
① データを記録する
② データを分析する
③ データを活用しアクションを起こす
これはスポーツだけではなくビジネスシーンでのデータ活用にも必要なプロセスですね。
まずは①データを記録しなければ話になりませんし、②データを分析しなければ正しい方向性でデータを活かせません。もちろん分析まではしたけど③アクションを起こさなければ意味がありません。
ゴルフに置き換えると、以下のようになります。
① データを記録する
昨今はスコアを記録する様々なアプリがあり、還暦どころか喜寿(77歳)を迎えようとしている私の父親ですら、プレー中に紙に書いたスコアを家に帰ってからアプリに記録し直しています。
重要なのは、毎ホールのスコアだけをただ記録するのではなく、できる限り分析に必要なデータを記録することです。
例えば、
- ティーショット(毎ホールの1番最初に打つショット)が右に行ったのか左に行ったのか左右にズレずに真ん中に行ったのか
- バンカー(入れると出すのが厄介な砂場のようなところ)に何回入ったのか
- パター回数(グリーンに乗ってからホールに入れるまでに打った回数)
などです。プロレベルになると、もっと詳細なデータを取って分析しますが趣味のアマチュアレベルだとこの程度で充分かと思います。
② データを分析する
記録したデータをもとに、自分の傾向としてどこで無駄に打つ回数を増やしているのかを分析します。
このプロセスが非常に重要で、アプリなどで示してくれる表面上の分析結果だけを鵜呑みにするとこのあとのアクションのプロセスで間違った方向に行ってしまいます。
例えば、私とA君では、記録したデータからアプリが分析して出てくるパーオン率(この場ではより少ない打数でグリーンに乗った=ショットが良い と理解してください)では私の方が上ですが、パター回数はA君の方が少ない(良い)です。最終的なスコアは同じくらいです。
このデータからは、私はパターを練習すれば良く、A君はショットを練習すれば良い、というのがシンプルなスコア改善の方向と思いがちです。
ただ、実際には私とA君はパターも同じくらいの距離なら同じくらい入るので、他に原因があるのではないかと考えます。
パターというのは皆同じ場所から打つのではなく、グリーンに乗ったそれぞれの場所から打ちます。
パーオン率の高い私は、遠くからのショットでグリーンに乗っているためあまりピン(=穴)に近い場所に乗らないことが多いです。
A君はパーオン率が低い分、近くからのショット(アプローチと言います)でグリーンに乗せるため、ピンに近い場所に乗ることが多いです。

その結果、グリーン上ではA君の方がピンに近い場所からパターを打つことが多くなり、パター回数が少なくなっていたのです。
■ パター回数は違うが結果的に同じスコアとなる例
- A君は3打でグリーンに乗り「パター1打」でカップイン⇒トータル4打
- 私は2打でグリーンに乗り「パター2打」でカップイン⇒トータル4打
そうすると、私のスコア改善のためのアクションとしては、パターの練習だけではなく、遠くからのショットの精度を上げることや落とし場所をパターが打ちやすいところにすること、グリーンを外してしまった時のアプローチの精度を上げること、などになります。
③ データを活用しアクションを起こす
データの分析までが正しくできていれば、あとは練習やコースでの狙い方というアクションに繋げるだけです。
今回②で挙げた例からは、私は打ちっぱなしでドライバーをただ振り回すのではなくグリーンを狙う時のクラブを重点的に練習すること、また、アプローチの練習をすることなどをアクションとします。
(もちろんパターも大して上手くはないためリビングでのパター練習はサボらないようにします)
さらにアクションを起こした結果、どのようにスコア改善に役立てられているか、KGIやKPIを設定してチェックし、①~③のサイクルを回していけるとより「上達する」という目的を効率的に達成していけますね。
今回はゴルフにおいての「データ活用」のお話でした。
ビジネスシーンでも昨今では②のデータ分析をAIに任せて、①データを記録すれば③必要なアクションを提示してくれる様々なソリューションが出てきています。
もちろんそれらのソリューションを利用していくことは将来的に必須となっていくと考えられますが、とても重要なデータ分析なので、AIがどのようなロジックで考えているのか、そのロジックは自社の方向性に本当にフィットしているのか、AIに「使われる」のではなく「使う」という視点でAIと向き合っていき、正しい方向性で「データ活用」していきましょう。
2025年06月16日 (月)
青山システムコンサルティング株式会社
田中直