「タイパ」は「暇活」と共に。 | 青山システムコンサルティング株式会社

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「タイパ」

という言葉をご存じでしょうか。「タムパ」とも言われますが、タイムパフォーマンスの略で、費やした時間に対して得られる効果の比率を指します。聞きなれた似た言葉に「コスパ」というのがありますが、これの時間バージョンですね。『三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2022」』で大賞に選出されるなど、近年注目されている言葉です。

概念としては、効率化に関するものとして特段新しくはないと思いますが、なぜ改めて近年注目されているかと言いますと、動画コンテンツの普及による影響があげられております。基本的に動画という媒体で情報を得る場合には、動画の再生時間分だけ時間を取られてしまう性質を持ちます。しかし、多くの動画が日々配信されている今日では、このように時間を取られてしまうと、最新情報を追いきれなくなってしまいます。そこで、動画の再生速度を上げる機能や、5秒・10秒飛ばしの機能が普及し、それらを駆使することで時間当たりの取得情報量を上げるようになりました。これが「タイパ」です。

上記の説明だけを見ると、「ちょっと如何なものか?」と懸念を抱く人がいるかもしれません。実際に、公開された映画を勝手に短い動画にまとめて投稿する違法な「ファスト映画」問題なども発生しているようで、「タイパ」によるデメリットについては方々で取り沙汰されております。しかし、本つぶやきでは、メリットやデメリットに関しては他の記事に譲ることとしまして、「タイパ」によって得られた時間をどう利用するのかに注目してみたいと思います。

では、「タイパ」によって得られた時間の利用方法はどんなものが考えられるでしょうか。例えば下記のようなものがあげられるでしょうか。

  • 仕事に使う(より重要な仕事やコア業務に当てるなど)
  • 休暇に使う(睡眠、動画視聴など)
  • 家族に使う
  • 自分に使う(自己研鑽、趣味など)

どれも今以上に時間が割けるようになれば嬉しいことこの上ないですよね。

しかし、例えば「これまでやりたいと思っていたが出来なかったことに使う」という人はどのくらいいるでしょうか?いざ時間ができて、「好きなこと、今までやれなかったことなど何でもやったらいいよ」と言われるとなかなか難しかったりしませんか?

国分功一郎という哲学者が書いた本に『暇と退屈の倫理学』というのがありまして、そこでは暇と退屈について、原理、歴史、経済、哲学、人間学、倫理学など多角的にアプローチしていてとても面白いのですが、その中で、「人は退屈に耐えられない」ことについても論じています。詳細はお読みいただくとして、ここで言いたいのは、暇や退屈に対する準備をしないと、人は耐えられずに手近なもの(今までと同じ行為など)で埋めてしまうということです。

せっかくテクノロジーが発展してきて、「タイパ」によって時間を作れるようになってきているので、いざ時間が空いた時に有効に利用できるように「暇活」準備をしておきたいですね。

※「暇活」・・・暇活とは「暇つぶし活動」の略で、余暇を有効に使うための活動


<参考資料>

  1. 『三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2022」』, WORD-WISE WEB, https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2023/archive/2022/best10.html, (参照日: 2024-02-16)
  2. 国分功一郎, (2015), 『暇と退屈の倫理学』,  太田出版
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2024年02月19日 (月)
青山システムコンサルティング株式会社
宿谷大志