頭の中の小さなコーチ 〜自らで自らを高める仕組み〜

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小学生の息子が地域のサッカークラブに入ったのをきっかけに、昨年からパパさんコーチのようなことをはじめました。そこで子供たちの練習を見ていく中で、面白いと思ったことがあったのでつぶやいてみたいと思います。

記事の執筆

宿谷 大志
宿谷 大志

宿谷 大志

ITテクノロジーで世界を革新することに興味を持ち、「不動産 × IT」を手掛けるソフトウェアベンダ企業に入社後、自社商品の SaaS アプリケーションのプログラム開発からプロジェクト推進、システムの保守運用を経験。ユーザー側の視座でITテクノロジーの活用に向き合いたいという思いからASCに入社。開発側の知識を活かしつつ、ユーザー側の業務に寄り添ったシステム構築のコンサルティングを行っている。

ちゃんと練習していないように見える子が、試合で活躍する

練習中、こちらが提示したメニューを途中でやめて、勝手に遊び始める子がいます。低学年の小学生なので当たり前とは思いつつも、コーチとしてはちゃんと練習してうまくなってほしいと思ってしまいます。

ところが、試合になると、そういう子の中にすごく活躍する子がいたりします。不思議でした。練習をまじめにやっていないように見えるのに、なぜ試合では動けるのでしょうか?

遊びにも種類がある

よく見てみると「遊ぶ」にも種類があるようです。砂遊びをしたり、虫を探したり、完全にサッカーから離れる子もいます。一方で、メニューからは外れているけれど、ドリブルしたり、シュートしたり、自分の頭の中のサッカーを展開しているような子もいます。

後者の子は、目の前に実際に相手がいるわけではありません。でも、その子の中には相手がいるのかもしれません。ゴール前の場面を想像しているかもしれないですし、「こうやったら抜けるかな」「こっちの角度なら入るかな」と、頭の中のサッカーが溢れ出て、それを試したい気持ちが抑えられなくなっているのかもしれません。

エコロジカル・アプローチで見る

パパさんコーチをはじめて、色々調べてみるうちに「エコロジカル・アプローチ」というものに出会いました。細かい理論はここでは省きますが、ざっくり言いますと、

『正しい動作だけを切り出して反復練習するのではなく 、相手・味方・スペース・ゴールなどの実戦の状況の中で、選手が自分自身で「何ができるかを探すこと」こそを中心に練習を設計する』

といった考え方です。ですので、コーチの役割は、選手のレベルに合わせて自由度を適切に減らした「実戦の状況」を設計し、選手が自ずと何ができるかを探す訓練ができるようにすることとされています。従来型の練習では、パスならパス、ドリブルならドリブルを切り出して反復練習します。もちろん、これはこれで大事です。基礎がなければそもそも実行できませんので。

ただ、それだけに終始していては足りないのです。試合では、「どう蹴るか」だけでなく、「いつ、どこに、なぜ蹴るか」が常に問われ続けます。むしろ、ボールを持っていない時間も含めれば、後者の方が圧倒的に多い。つまり、技術を実行する力だけでなく、そもそも「何を実行するかを見つける力」が重要になるわけです。

自らで自らを高める仕組み

そう考えると、勝手に頭の中のサッカーを展開して遊んでいた子は、無意識のうちに自分自身のコーチとなり、自分の中に「実戦の状況」を創り出していたのかもしれません。これは頭の中に小さなコーチがいるようなものです。

これは、仕事の現場でも同じかもしれません。

与えられた仕事をきちんとこなす力は大事です。しかし、同じ仕事でも、ただ終わらせるだけで終わる人もいれば、それを自分なりの「試す場」に変えていく人もいます。たとえば、資料を作る仕事であれば、「期限までに資料を完成させる」だけで終えることもできます。一方で、「今回は論理展開を少し変えて、この説明で相手の反応がどう変わるかを見てみよう」と、自分の中で何かを試す場にすることもできます。

自らで自らを高めていく人は、与えられた設定や環境の範囲内で留まっていません。勝手に遊び始める子供のように、自分で「何を試す場にするか」を設計しています。この「頭の中の小さなコーチ」を持てるかどうかに、自らで自らを高めていく力の核心があるのかもしれません。

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2026年09月14日 (月)
青山システムコンサルティング株式会社
宿谷大志