弊社メールマガジンで配信した「コンサルタントのつぶやき」です。
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突然ですが、みなさんは「本当の状態」を正確に把握できているでしょうか。
今回は、私自身がプライベートのボディメイクで直面した「データと比較する基準の罠」というちょっと苦い経験をシェアしつつ、ビジネスの現場でも起こりがちな「データの補正」について、ざっくばらんにつぶやいてみようと思います。
記事の執筆
高橋 和大
ファシリテーション能力を強みとし、プロジェクトマネジメント・PMO支援を中心にコンサルタントとして活動している。 プロジェクトの円滑な推進を支援し、プロジェクトを成功に導いている。 上記のほか、大手通信販売業のデータベースマーケティング業務に従事し、販売高の向上に貢献した経験を持つ。 また、前職では経理業務に従事し、日々の出納業務から決算業務、予算編成、予算/管理などの業務経験を持つ。
1. 「心地よい数字」に隠された思考の罠
実は私、ここしばらくプライベートでボディメイクに励んでおります。
以前のつぶやきでも触れましたが、一般的な家庭用体組成計の画面に表示される数値を日々チェックして、ボディメイクの指標に使用しており、約1年半が経過しています。
ボディメイクを意識するようになってから、筋肉量や体脂肪率など体組成計に表示される数値と、一般的に自身の年齢や身長の「平均値」と言われる数値を見比べ、「年齢の割にはかなり良い線いっているな」「この調子なら順調だ」と、密かに満足感を覚えていました。 自分の努力が数字として肯定されているように感じ、心地よい安心感の中にいたのです。
しかし、これこそが思考を停止させる大きな罠でした。

※本ページに使用しているイラストはAIによって生成されたイメージであり、実在する特定の人物、製品、団体、および実際の計測データとは一切関係ありません。
2. 「補正なし」が突きつけるシビアな現実
一度減量した後に、今度は筋肉を増やそうと体重を戻していた頃のことです。
ふと、ある違和感を覚えるようになりました。
体重が増えて減量前と同じ数値に戻ったとき、以前より見た目は締まっているし、筋トレを頑張っていて筋肉がついているはずなのに、画面に表示された筋肉量や体脂肪率などの体組成データは、以前とほぼ同じ数値を指し示していたのです。
気になって調べてみると、一般的な家庭用体組成計の多くは、微弱な電流による計測データだけでなく、事前に入力された年齢や性別などの「統計データ」を掛け合わせ、数値をマイルドに予測・補正して表示する仕組みになっていることが分かりました。
つまり、私が日々チェックし一喜一憂していた数値は、統計データで丸められた、都合の良い「予測値」だったのです。
その事実を認識し、自分の身体の状態を厳密に知りたくなった私は、ジムなどに置いてある「補正なし」の数値が分かる体組成計を使い、ありのままの数値で計測し直してみることにしました。
また、「その体組成計メーカーのビッグデータから算出された平均」が測定時に出力されたため、その基準を使って、自身の状態を再評価することにしました。
なぜなら、その体組成計メーカーのビッグデータは、ボディメイクを意識している人たちのデータであり、私の目標に則した基準(世間一般より厳しい基準)だからです。
その2つの現実を並べた瞬間、あの心地よい安心感は一気に吹き飛びました。
筋肉量も体脂肪率も、厳しい基準の平均値からは遠く、自分の認識が甘かったことを思い知らされました。しかし、この出来事があったおかげで、食事内容や筋トレの内容など、自身の行動を見直すきっかけになりました。
「補正されたデータ」を「一般的な基準」で見比べるか。
それとも「補正なしのデータ」を「目標に即した基準」で見つめるか。
入り口となるデータの性質と、比較する基準を変えるだけで、目の前に現れる現実は天と地ほど変わるのだと、身をもって痛感した瞬間でした。
3. 意思決定を狂わせる「データの補正」
このデータと比較する基準を巡る罠は、ビジネスにおける重要な意思決定でも、同じことが起きていないでしょうか。
もちろん、ビジネスにおける「補正」は、システムのアルゴリズムによるものだけではありません。
むしろ本当に恐ろしいのは、現場の忖度や保身、あるいは報告を受ける側の「こうあってほしい」という希望的観測といった、意識のフィルターによってデータが都合よく「補正」されてしまうことです。
例えば、プロジェクトの進捗報告で、遅延の兆候があるにもかかわらず「リカバリー可能」としてダッシュボード上は『正常(青信号)』に補正されてしまうケース。
あるいは、自社の売上成長率を、真の競合であるトップランナー企業ではなく、停滞している『市場全体の平均』と比較して「平均よりはマシだから順調だ」と安心してしまうケースなどがこれに当たります。
このような状態で行われる意思決定は、適切でない可能性が高いと考えます。
4. 適切な意思決定は、耳の痛い事実から始まる
適切な意思決定は、耳の痛い、しかし誤魔化しのない「補正なしの事実」を、本当に目指すべき「適切な基準」で比較した結果を受け入れることから始まります。
そこに必要なのは、高度な分析スキル以上にその不都合な現実から目を背けないという「覚悟」だと考えます。
あなたが意思決定に使用しているデータと比べる基準は、「補正無しの事実」と「適切な基準」でしょうか。今一度、その数字の裏側を疑ってみる価値はあるかもしれません。
まずは、自社で最も重要視している指標の「定義」や「比較基準」が本当に適切か、身近な指標を1つ見直してみることから始めてみませんか。
2026年07月21日 (火)
青山システムコンサルティング株式会社
高橋 和大
