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2015年に出版した
『業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革』幻冬舎 (2015/9/18) より
書籍内のコンテンツをタイトルごとに公開いたします。

コンテンツの最後に、コンサルタントのコメントを追加しておりますので、合わせてご覧ください。


P.132~

第3章
ベンダー任せにするな。
改修の成否は「業務プロセス」の徹底的な洗い出しで9割決まる

ITコストの問題もシステムの見直しによって解決できる

ITシステムのいちばんの目的は業務効率の向上ですが、実際にシステムを導入してしまうと他にもいろいろな問題が出てきます。

その一つがコストです。現在、情報化社会の急速な発展、競争力向上のためのIT活用等を背景に、企業が存続・発展するために必要なITインフラは増大しています。

それに伴い、ITインフラの構造は複雑化し、企業が負担するITコストも増加の一途を辿っています。

昨今の厳しい経済状況の中で、中小企業の経営者の中には、何とかITコストの削減をしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

たとえば、私たちは過去に、ITコストの削減をしたいが、どのように進めたらよいのかがわからないと悩んでいる経営者からの相談を受けたことがあります。

システムの増加、複雑化に比例してランニングコスト(保守・運用費)が上昇し、十分な投資効果が得られていないと感じている経営者からコンサルティングの依頼を受けたこともあります。

このようなITコストの問題をTCOと呼ぶことがあります。

TCOとはTotal Cost of Ownership(総保有コスト)の略称で、設備などの資産に投資したときの、購入から、維持管理、そして廃棄までに必要なコストを合計したものです。通常、設備投資を行う際には、イニシャルコスト(初期投資額)だけに注目しがちですが、ITシステムの場合はランニングコストも馬鹿にならない金額になります。

では、システム導入によるイニシャルコストとシステム導入後のランニングコストでは、どちらが多額なのでしょうか。

システム導入時は、まとまったイニシャルコストが発生しますから、感覚的には多く費用がかかっていると思われがちですが、実際にはシステムを使い続けることによって発生するシステム運用費用がボディブローのようにじわじわとかかってきます。

また、システムの仕様変更や機能追加といった維持・管理費用も発生することから、実際には、圧倒的にランニングコストのほうがかかると言われています。

なお、経済産業省調査の「情報処理関連支出の内訳の推移(平成19年度見込み)」によれば、以下のような内訳になるそうです。
新規システム構築・システム再構築にかかる支出 :34・1%
従来システム運用にかかる支出         :65・9%
ですから、TCO削減を考えるのであれば、一時費用(イニシャルコスト)ではなく、運用費用(ランニングコスト)にスポットを当てるべきだと、私たちは考えています。

具体的な対策は次のようになります。

①ランニングコストの見直し
既存システムにかかわる「ハウジング費用」「回線費用」「運用費用」「ハード・ソフトウェア保守費用」「ライセンス費用」等のランニング総コストを算出し、適正なランニングコストの見直しを行い、コスト削減を実現します。

②第三者機関による見積り評価
ITベンダーからの「システム構築費」「年間システム保守費用」などの見積書の妥当性を第三者に評価してもらい、コスト削減交渉を行います。

ちなみに私たちの会社が第三者機関としてかかわった案件では、実際に次のようなコスト削減に成功しました。

•食品製造販売企業のITシステム構築費1・5億円 ↓  1・2億円
•通信販売企業のITシステム構築費1000万円 ↓ 500万円
•樹脂成形メーカーのITシステム構築費1・5億円 ↓ 1億円
•銀行の年間ITシステム保守費用800万円 ↓ 500万円
•建築業のITシステム構築費4000万円 ↓ 3000万円

③クラウドを利用した安価なシステムへの代替え
ITシステムというものは、高度な機能や完璧なセキュリティを求めればきりがないものです。また、付加価値を望めば望むほど、価格もうなぎのぼりに高くなっていきます。

一般に、80点の製品を100点にするには、60点の製品を80点に仕上げるのに比べて、何倍もの手間と費用がかかると言われているからです。

しかし、世の中には80点の製品でよい場合、それどころか60点の製品でも十分に間に合うケースも多々あります。そのようなケースで、100点や90点を求めるのは過剰品質であり、経営資源を圧迫することになります。

そこで、コスト削減を目指すのであれば、既存システムに過剰なシステム機能やインフラ環境等が備わっていないかをあらゆる角度から調査することをおすすめします。

たとえば、それほどの機能が要求されないような場合には、クラウドコンピューティングを利用して、必要なときに必要な分だけのソフトウェアやインフラ(プラットフォーム)を借りるほうが効率的と言えるでしょう。

クラウドサービスのシステムを使用するのであれば、メンテナンスや維持管理やバージョンアップの手間がなくなるので、システムの運用負荷と保守管理費用が軽減されます。

④費用対効果による運用アウトソーシング化の検討
アウトソーシングの活用も有効なコスト削減手段です。

運用業務をアウトソーシングすることも選択肢として、費用対効果を見極めて意思決定することが重要です。

⑤長期利用可能なシステム開発の提案
最後に提案したいのが、新たなシステムへのリプレースです。

ハードウェアのリプレースに伴うOSのバージョンアップなどの際には、それまで使っていた業務アプリケーションも、開発言語のバージョンアップに伴う作り直しが発生する可能性が高くなります。

つまり、長期的な視点でシステム開発を行っていなかった場合、開発言語の陳腐化や、業務環境の変化などから、どうしてもシステムが短命になるリスクがあります。

そこで、短命な開発言語からの脱却を行い、ハードウェアやOSを刷新しても業務アプリケーションに影響のない開発言語を採用した新しいシステムへのリプレースが、将来的なコスト削減につながることがあります。

一般的に、ITシステムにかけるべき年間費用は、売上の1%くらいだと言われています。
金融業など、セキュリティや安定性に力を入れている企業の場合は、売上の5%程度をITシステムに投資していますが、その他の企業ではだいたい1〜2%に収まっています。とはいえ、これはあくまでも売上に対するコストの割合という考え方をしたときのものです。もしもITシステムの導入が売上や利益に貢献できるのであれば、売上の1%にこだわらずに、積極的に「攻めのIT投資」をしていくべきだと、私たちは考えています。

近年、経済産業省が「攻めのIT投資」を推薦しています。2015年には東京証券取引所と一緒に、IT投資に積極的な企業を「攻めのIT投資銘柄」として選出しました。

経産省が企業のIT投資を推奨するのは、日本の企業が欧米企業に比べてあまりにもIT投資に消極的であることと、そのために国際競争で後れを取っているとの危機感があるためです。10年後に生き残る企業になるためにも、ぜひ今から賢いIT投資を検討してみてください。

ITコンサルタントのコメント(2022年7月29日)

ITコストの削減をどのように進めてよいかがわからない理由として、会社全体のITコストが正しく管理できていないことが多いです。ITコストを削減したいと考えても、現行システムのどこにどのようなコストが発生しているかを把握していなければ、適切なコスト削減は行えません。

また、そのような状態では、予算のほとんどをランニングコストが占め、攻めのIT投資を行えない。という状況にもなりかねません。

本書に記載されているコスト削減対策は、現在でも変わらずに効果のある内容です。
コスト削減を行う際は、現行システムの見直し、コストの見える化を実施頂き、本書の対策を参考にコスト削減対策を検討し、適切なコスト削減を実施頂ければと思います。

無駄な投資を削減することで、DX(デジタル・トランスフォーメーション)など「攻めのIT投資」をして頂きたいと思います。

2022年07月29日 (金)

青山システムコンサルティング株式会社

その他

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システム計画策定の手順
「業務合理性」は、あくまでも自社の業務に即して評価する
「戦略性」「業務合理性」「技術適合性」「コスト適切性」の4点から課題を洗い出す
業務の仕組み全体がシステムである
企業にはITシステムの知識と経験を持った人材がいない
どんなに良いシステムでも10年以上は使い続けられない
システム導入前にユーザーニーズを把握しないと失敗する
新技術は高価なわりに障害だらけ
ベンダーの売りたいシステムとユーザーが必要とするシステムはズレている
ベンダーは高いシステムを売りたがる
システム屋の言い値で導入費用が割高になる
場当たり的なシステム改修で運用に耐えられないシステムになる
システム設計ミスで数千万円のムダなコストがかかることも
ずさんなITシステム導入計画で、業務にムダが生まれる
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