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2015年に出版した
『業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革』幻冬舎 (2015/9/18) より
書籍内のコンテンツをタイトルごとに公開いたします。

コンテンツの最後に、コンサルタントのコメントを追加しておりますので、合わせてご覧ください。


P.87~

第2章 場当たり的なシステム改修は、お金と業務の「ムダ」しか生み出さない

どんなに良いシステムでも10年以上は使い続けられない

ITシステムの導入は難しい。このように話をすると、脅えてしまう方がいるかもしれません。

「うちは、すでに稼働しているシステムがあるから、無理に新しいシステムにする必要はないな」

そう言って、古いシステムを使い続ける経営者も少なくありません。

たしかに、十分に動いていて何の不満もないシステムを、ただ古いからという理由だけで変えるのは得策ではありません。ITシステムに関する限り、安定性に勝る機能はないからです。しかし、大型汎用機(メインフレーム)を用いたレガシーシステムであればともかく、2000年以降のオープンシステムはあまり長く使い続けることはできません。その理由をこれから説明します。

大型汎用機を使用していた頃は、ソフトウェアが古くなっても、メーカーの技術者が常にメンテナンスを施してくれましたし、サポート期限が切れても責任を持ってバージョンアップをしてくれました。

なにしろ、コンピュータメーカーの大型汎用機は、そのメーカー独自の機構です。他に代替のコンピュータがない以上、メーカーが永続的にサポートをしていくしかありませんし、それだけの保守管理費用も毎年もらっていたわけです。

そのため、10年以上、ときには20年間にわたって、同じシステムを使い続けることも珍しくありませんでした。

ところがオープンシステムの時代になって、市販のサーバーやPC端末を使うようになると事情が異なってきました。

市販のハードウェアは安価であるため、メーカーの定期的なメンテナンスや手厚いサポートが期待できません。また製品自体も、大型汎用機ほどの堅牢さはありません。そのため、だいたい7年もすると交換時期がやってきます。老朽化に伴う交換が必須となるのです。

もちろん、ハードウェアを交換しても、同じソフトウェアを使い続けることは可能です。
しかし、古いソフトウェアが新しいハードウェアに対応していなかったり、ハードウェアが対応していても周辺機器のファームウェアやドライバーが対応していなかったりします。その結果、ハードウェアを交換するときに、中身のITシステム自体も入れ替えざるを得なくなってしまうのです。そもそも、ソフトウェアには寿命があります。問題なく動いているソフトウェアだからと、ユーザー企業がいつまでも使い続けたいと考えていても、システム・ベンダーがサポートを打ち切ってしまうからです。

最もわかりやすいのは、マイクロソフトでしょう。WindowsサーバーやWindowsOSは定期的にバージョンアップをしますし、古くなったOSに対してのサポートは発売後10年程度で打ち切られてしまいます。

これに対して、ユーザー企業の不満も高まっています。日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2008」によれば、システム・ベンダーは「基幹業務システムのライフサイクルはほとんどが10年以下」として、それに合わせてサポートを打ち切るのに対して、ユーザー企業のほうは、平均すると「13・6年」の使用を想定しているからです。

そのため、同調査によると「過去5年間にサポート打ち切りが原因でOSやミドルウエアといった基盤ソフトのバージョンアップを迫られた経験は実に58%の企業が持つ。同様に保守停止が原因のサーバー更新も57%の企業が経験している」のだそうです(『日経コンピュータ』2008年6月15日号より)。

もちろん、ユーザー企業もベンダーの言いなりになって泣き寝入りしているばかりではありません。

同じ調査によれば「業務システムの機能拡張、再構築などに合わせて予算を取りバージョンアップした」企業もたくさんありますが、「システムを凍結し、そのまま使っている」とか「メーカーやベンダーに交渉してサポートを延長させた」「保守部品を確保した」などの強硬手段を取った企業も少なからずありました。

余談になりますが、2014年にWindowsXPが、とうとうサポート終了となったときに、付き合いのある中小企業の経営者が「じゃあ、今のうちにXPを100台くらい買っておけば今後も使えるな」と漏らしたことがあります。

ハードウェアであれば、部品を大量に買っておけば、修理して何年も使い続けられるかもしれませんが、ソフトウェアはそうもいきません。サポートが終了すると、新たなウイルスやサーバー攻撃に対して、セキュリティ面での対応ができなくなってしまうからです。

ですから、システム・ベンダーが「以降の動作は保証しません」と宣言してしまえば、立場の弱いユーザー企業は不安になってしまいます。その結果、何とか予算をひねり出して、バージョンアップする企業がほとんどを占めます。

その際に、バージョンアップではほとんど付加価値がないため、同じようにお金をかけるのであればと、新しいシステムの入れ替えを選択される企業も少なくありません。

オープンシステムの時代になって、メーカーが手厚い保証をしなくなってからというもの、ITシステムの寿命は10年以下が定番になってきました。
どんなに、皆さんが現在のシステムを気に入っていたとしても、さまざまな理由から10年以内には新しいシステムへと入れ替えざるを得なくなるのです。

だからといって今さら大型汎用機に戻ることはできません。メインフレームはほぼ淘汰されてしまいましたし、やはり高価すぎます。100万円のサーバーに慣れてしまった企業が、今さら10億円のメインフレームに戻れるでしょうか?

ITコンサルタントのコメント(2022年05月12日)

メインフレームと言えば、2021年国内出荷台数シェアNo.1(※1)の富士通の撤退発表が記憶に新しいところです。日立も既にハードウェア製造から撤退しています。金融大手を中心に未だメインフレームは使われていますが、金額面だけでなく、今後選択肢が狭まっていく中、新たに導入することは考えにくいですね。

※1 富士通ホームページより

例えば、某大手ネットワーク機器メーカーでは、「ハードウェアの販売終了日から5年間は、代替パーツもしくは後継製品が提供可能」としています。逆に言えば、延長サポート等が無ければ、それ以降は故障したら代替パーツ等の提供が保障されず、システム停止に陥るリスクが大であり、実質使い続けることは出来ません。

クラウドサービスの仮想サーバー等を活用すれば、サーバー筐体やネットワーク機器の保守期限を気にする必要はなくなりますので、ハードウェア機器のリプレースの手間と費用を下げる手段としては一考に値します。ただし、引き続きOSやデータベースなどソフトウェアの保守期限切れの対応は必要ですので、クラウド化で全てが解決するわけではありません。

今後もソフトウェア/ハードウェアの保守期限切れはやって来ます。その都度「どうしたらよいのか」「そんな予算は考えていなかった」と慌てるのは得策ではありません。来ることは分かっているのですから、自社のシステム構成を把握し、各々の保守期限を管理した上で、いつからリプレースを検討すればよいか、中長期の計画を立てて備えておきましょう。

2022年05月20日 (金)

青山システムコンサルティング株式会社

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