青山システムコンサルティングのコンサルティングコラムです

TEL:03-3513-7830|お問い合わせ

コラムカテゴリー:

2015年に出版した
『業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革』幻冬舎 (2015/9/18) より
書籍内のコンテンツをタイトルごとに公開いたします。

コンテンツの最後に、コンサルタントのコメントを追加しておりますので、合わせてご覧ください。


P.83~ 

第2章 場当たり的なシステム改修はお金と業務の「ムダ」しか生み出さない

システム導入前にユーザーニーズを把握しないと失敗する

システム・ベンダーの開発担当者と、ユーザー企業の現場のユーザーとのコミュニケーションは、ITシステム導入における肝になります。

その理由は、そもそもITシステムが何のために存在し、どのように機能するものであるかを考えてみればわかるでしょう。

ITシステムの主な導入目的は、業務効率の向上です。そして、その業務を実際に行っているのは、現場のユーザーです。つまり、ITシステムを実際に使うのはベンダーの開発者ではなく現場のユーザーなのです。

ですから、もし現場のユーザーにとって使いにくいシステムであったとしたら、業務効率は向上するどころか、逆に下がってしまいます。システムを使うために分厚い説明書を何度も読まねばならないとなれば、業務スピードは落ちるし、最終的にはそっぽを向かれて、使われないシステムとなってしまうでしょう。

実際に、ユーザーニーズを十分に把握しないまま開発してしまったために、使われなくなったシステムを、私たちはこれまでに多数見てきました。

開発者や企画者の自己満足、とまでは言いたくないですが、高機能や高付加価値を持つシステムはしばしば、ユーザーにとっては不要で手間がかかるだけのものになりがちです。

業務効率の向上を目的とするのであれば、最初から最後までユーザーに寄り添い、ユーザーが「こんな機能があれば仕事の能率が上がる」「こんなシステムがあれば便利だ」と考えるようなシステムを実現しなければならないのです。

そのためには一定の手順が必要です。

第一に、自社にどのようなシステムを導入するかという、大局的かつ長期的な視点が必要です。これはもちろん経営者もしくは経営陣に属するCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)の役割です。第二に、業務に合ったシステムの客観的な判断が必要です。現場のユーザーといっても、ユーザー自身が「システムにはこのような機能が必要だ」と明示的に言葉で伝えられるわけではありませんし、判断できる能力を持っているとも限りません。

そのため、彼ら彼女らが、実際に業務においてどのような動きをしているのかを調査し、
どの部分をどのようにシステム化すると業務効率が良くなるのかを客観的に判断する第三者が必要です。これはシステム導入の担当者、もしくはシステムコンサルタントの役割になります。

第三に、そのようにして得られた情報(システム化したい業務)を、どのようにシステムに反映したらよいか、ベンダーの担当者に伝える必要があります。この情報は通常、要件定義書と呼ばれる書類に落とし込まれます。

この要件定義がどれだけ正確にできるかが、システムの成否を左右します。そのため、要件定義における、ユーザー企業とベンダー企業とのコミュニケーションが、システム導入の核になります。

このとき、ソフトウェアの要件定義はもちろんですが、ハードウェアについても十分な要件定義が必要です。

以前、システム要件を明確にしないままハードウェアの導入のみを先行してしまったために、失敗した事例についての相談を受けたことがありました。後になって、要件が固まってみると、当初導入した機器では必要な機能が実現できないことがわかったのです。結局、その企業はハードウェアを買い直すことになり、二重にコストがかかることになりました。

ITシステムの導入というと、ただIT化することが目標となって、とにかく評判の良いハードウェアやソフトウェアを導入すればよいとだけ考える経営者もいます。

しかし、十分にユーザーニーズを把握して、課題を分析してからシステムの設計をしなければ、まったく業務の改善にはつながりません。ITシステムを導入するのであれば、事前準備が最も重要であると心得てください。

ITコンサルタントのコメント(2022年5月12日)

文中にもありますが、システム・ベンダーの開発担当者と、ユーザー企業の現場のユーザーとのコミュニケーションは、ITシステム導入における肝になります。

本書が刊行されてから約10年が経過しておりますが、
現在においても実際の現場では、ITシステムに関連する用語/内容が難解であるなどの理由から、システム・ベンダーの開発担当者やユーザー企業側のITに強い人材に丸投げ状態でシステム開発を行っていることがよくあると感じます。
このような状態では、現場のユーザーニーズを把握したITシステム導入は難しいでしょう。

文中にもあるように、効果的なITシステム導入には、以下の手順による事前準備が重要です。

  • 自社にどのようなシステムを導入するかという、大局的かつ長期的な視点による判断
  • 実際の業務の動きを調査し、どの部分をどのようにシステム化すると業務効率が良くなるのかの客観的な判断
  • システム化したい業務をどのようにシステムに反映したらよいかをまとめた情報(要件定義書)の作成
  • 要件定義における、ユーザー企業とベンダー企業とのコミュニケーション

この事前準備には、経営陣、現場のユーザー、システム導入担当者のスキルや知見が必要です。
ITシステム導入にかかる費用を無駄にしないためにも、関係者が一丸となって取り組んで頂くことを強く推奨します。

2022年05月12日 (木)

青山システムコンサルティング株式会社

その他

業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革一覧
ITコストの問題もシステムの見直しによって解決できる
システム計画策定の手順
「業務合理性」は、あくまでも自社の業務に即して評価する
「戦略性」「業務合理性」「技術適合性」「コスト適切性」の4点から課題を洗い出す
業務の仕組み全体がシステムである
企業にはITシステムの知識と経験を持った人材がいない
どんなに良いシステムでも10年以上は使い続けられない
システム導入前にユーザーニーズを把握しないと失敗する
新技術は高価なわりに障害だらけ
ベンダーの売りたいシステムとユーザーが必要とするシステムはズレている
ベンダーは高いシステムを売りたがる
システム屋の言い値で導入費用が割高になる
場当たり的なシステム改修で運用に耐えられないシステムになる
システム設計ミスで数千万円のムダなコストがかかることも
ずさんなITシステム導入計画で、業務にムダが生まれる
結局、ITシステムをどうすればよいのか
ERPシステムの流行と挫折
メーカー主導で見直しを迫られる
ソフトウェアメーカーが支配するオープンシステムの時代
2000年問題でITシステム見直しのサイクルが加速
常に話題を先行させるIT業界のマーケティング
IT業界で使われる言葉はなぜ難解なのか
IT革命に乗り遅れまいと焦ってはならない
役に立たないシステムが「不良資産」と化す
多くの企業がITシステムを使いこなせていない